「ターボ」の誤用だらけ! じつは「電動ターボ」は間違いで「モーターチャージャー」が正解だった (1/2ページ)

ターボエンジンの加速に似ていることから電動ターボと称された

 ハイブリッドシステムや、F1のKERS(キネティック・エナジー・リカバリー・システム、2009~2013年)またはMGU-K(モーター・ジェネレーター・ユニット-キネティック)などで、モーター駆動により加速力が増幅される様を「電気ターボ」「電動ターボ」などと言われることがある。ちなみにキネティックとは、運動という意味だ。

 排ガスを動力とするターボチャージャーを備えたエンジンでは、過給によって加速力が増幅されると、がぜん勢いが増し、自然吸気エンジンでの加速とは違った体験ができる。モーターの力が加わり、加速力が増幅される様子も、ターボエンジンでの加速に似ているので「電気ターボ」や「電動ターボ」と表現されたのだろう。

 ただ、厳密に言葉の意味を確認するならば、ターボチャージャーのターボとは、タービンのことだ。羽を回して動力を得る装置である。ジェットエンジンも、タービンの一つだ。

 チャージャーとは、直訳すれば充電器となる。チャージという単語には、充填の意味があるので、何かを詰め込むためのもの(装置)と解釈できる。

 したがってターボチャージャーは、タービンを使って詰め込む装置だ。何を詰め込むかというと、エンジンの場合は吸気(空気や混合気)である。また、羽を使って動力を得るためのエネルギーを排気に頼る。

 ターボという言葉は装置の機構をいっているのであり、ターボチャージャーを装備することで得られる加速力の増大の様子は、ブーストと表現されるべきかもしれない。ブーストとは、押し上げるという意味で、ロケットのブースターは補助推進装置を意味する。そこで、エンジンにモーターの補助を加えることで、加速力が増大する様子は、「電気ブースト」とか「電動ブースト」といった方が的確だろう。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

愛車
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乗馬、読書
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池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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