バッテリーの残量が少ない方が充電のスピードは速くなる
電気自動車を走らせる上で最大の悩みどころが充電の問題であることは言うまでもないだろう。ガソリンスタンドに駆け込んで数分で満タンになるエンジンを搭載したモデルとは異なり、電気自動車は急速充電器を数十分使用しても満タンには程遠い量しか充電されないのである。
そもそも電気自動車の正しい使い方は、満充電で走破できる範囲内で活用するシティコミューター的なものがベストなのだろうが、最近は大容量バッテリーを搭載した電気自動車も増えており、エンジン音のしない快適な空間で遠出をしたくなる気持ちもわからなくはない。
となると、必然的に道中で充電を行う必要性が出てきてしまう。出先での充電となると一度に大容量の電力を供給することができる急速充電器が中心となるだろうが、高速道路のサービスエリアやパーキングエリアなどに備わっている公共の急速充電器のほとんどは最大30分が充電の時間となる。
サービスエリアで食事などをする予定があれば、この30分を有効に使うことができるだろうが、純粋に充電をするためだけに立ち寄ったとすると、30分を有効に使うというのはなかなか難しいもの。トイレ休憩にドリンクタイム、タバコを一服(筆者は吸わないのでイマイチ時間がわからないが)したとしても10~15分程度が関の山だろう。
となると、残りの時間をキッチリ充電するのか、途中で充電を止めて次の充電スポットを探しながら先に進むのがいいのかという判断に迫られる。
ここでお伝えしたいのが、充電中はつねに一定の量の電力が充電されているわけではないということだ。じつはバッテリーへの充電量はバッテリー自体の温度や気温、残量などさまざまな要因によって刻一刻と変化している。
さすがにバッテリーの温度や気温はコントロールできないが、ユーザー側でコントロールできるものとして挙げられるのが残量だ。じつはバッテリーの残量が少ないほうが充電のスピードは速くなり、満充電に近づくと遅くなるという性質がある。そのため、ある程度の量まで充電されているのであれば、一旦そこで充電を止め、またある程度バッテリーが減ったタイミングで充電をするというのが、いちばん効率の良い充電方法と言えるのである。
とはいえ、まだまだ充電インフラが整っていない日本では、次の急速充電器が空いている保証はどこにもないわけで、週末のお出かけでは少しでも多くその場で充電しておきたいという気持ちも痛いほど分かる。諸外国では間もなく純内燃機関車の販売ができなくなるという報道もあるが、それまでにこういったインフラ整備が完璧になることを祈りたいところだ。