ひとつのホイールで複数の車輪に対応するための手段
前後異径など、サイズの違いはあっても、乗用車の場合、見た目が違うことはない。一方、トラックやバスなどの商用車になると、前後で形が違うことがある。フロントはセンター部分が手前に出ていて、リヤは逆に凹んでいるのだが、よく考えるとユニークというか、変わっている。
そのようになるのは、リヤがダブルタイヤになる場合で、ひとつのホイールですべての車輪をまかなうために、表向きに付けたり、反対側に付けたりしている。つまり、センター部分が出っ張っていれば、向き合わせてふたつのホイールをハブに付けることができるというわけだ。
ひとつのホイールですべての車輪に対応させている理由のひとつは、スペアタイヤの問題があって、別々にするとそれだけスペアタイヤが必要になって、商用車で問題の積載量にも影響を与えてしまう。ただし、過去には小型トラックを中心に前後異径のホイールを採用している例はあって、リヤが小さいのが特徴だった。それは荷台を低くする低床化のためで、ちょっとしたブームになったが、現在は下火になっている。
そもそもなぜリヤはタイヤをふたつ重ねて装着しなくてはならないかというと、荷重の問題。荷物を満載したときにはタイヤに非常に大きな荷重がかかってくる。そうなると、サイドの剛性などの関係で1本では支えきれないので、2本で支えているのだ。
そして最近の注目が、ワイドシングルタイヤやスーパーシングルタイヤと呼ばれるとても太いタイヤ。要はシングル2本分を1本にしたもので、実際の装着も増えていて、積載量のアップや燃費の向上、コストの削減など、メリットが多いことから今後も増えていくだろう。