頑丈さと耐久性に優れた梯子状のラダーフレーム構造
ラダーフレームは、日本語で表すと梯子型の枠という意味になる。クルマの床構造であり、これにサスペンションを取り付けたり、エンジンを載せたりして、その上に客室を載せる。馬車の時代から引き継ぐ骨格構造だ。ひとつのフレーム構造のうえに、さまざまな客室を載せ、車種を広げることができる。トラックの荷台も、この方式といえる。トラックメーカーは、フレームと、サスペンションやエンジン、運転席のある客室だけを主につくり、荷台は専門メーカーが用途に応じて様々な形態で載せている。
乗用車では、悪路走破を最大の目的とした4輪駆動車で今日も採用されている。トヨタ・ランドクルーザーや、スズキ・ジムニーがこの方式を採用する。輸入車では、メルセデス・ベンツGクラスや、ジープ・ラングラーがこの構造だ。
梯子状の頑丈なフレーム構造により、悪路でのタイヤの上下動や、岩や倒木などを乗り越えたときの強い衝撃を受け止め、頑丈さと耐久性に優れるのが特徴だ。万一、それでもフレームが曲がったり破損したりするなどの故障が生じたときには、フレームだけ修正することができ、上の客室はそのまま使える。
一方で、フレームを頑丈に作るため、車体が重くなる傾向になる。高速走行や燃費の点で、ほかの乗用車が用いるモノコック構造にやや劣る。モノコックとは、箱型の車体を床も含め一体でつくり、床の部分は必要に応じて強化した構造だ。箱型にしたほうが、薄い板の組み合わせでも、分厚い一枚の板より曲げにくくなる。隣り合う板が互いに補強しあい、また力を分散して強さを確保することを利用した車体構造が、モノコックだ。
悪路走破を目的とした4輪駆動車でも、最新のディフェンダーはモノコック構造の車体へ切り替えた。あるいは、生産を終えた三菱自のパジェロは、ラダーフレームとモノコックの利点を併せ持つ、ビルトインフレームへ最終世代で変更されている。
どの構造が良いか悪いか、あるいは上か下かということではなく、用途に応じたフレームや車体構造であることが重要だ。
道なき荒野や密林、山岳地帯などで使うことを想定した4輪駆動車は、人家や修理工場もないような場所で不測の事態が起きても、走り続け、命を守れることが大重要課題であり、ラダーフレームを採用し続けている。地球上には、未開の地がまだ残されている。その結果、ラダーフレームを採用する4輪駆動車は永年にわたり販売が続けられ、なくなることはないだろう。
一方、モノコック構造を採用するSUV(スポーツ多目的車)は、時代の変化によって姿を消す可能性がある。ビルトインフレーム構造を採用したパジェロも、結局、生産を終えた。モノコック構造に切り替えた新型ディフェンダーは、長生きできるだろうか。