間違ったけん引の仕方では車両を損傷するおそれがある!
最新のEVだって、故障もすれば、事故も起きる。なによりガス欠ならぬ電欠(電池切れ)はメジャーなトラブルで、JAFによるEVへのロードサービス実施件数の6割は、電欠だったというデータもある。
いずれにせよ、こうしたトラブルでEVが動けなくなってしまった場合は、レッカーによるレスキューを呼ぶしかないのだが、EVにはガソリン車などとは違う、大事なルールがあるので覚えておこう。
それは『けん引が必要なときは、駆動輪または4輪を持ち上げてけん引する』ということ。
EVの動力源であるモーターは、電気を流すと回転し、逆に外部の力でモーターの軸を回すと電気を発電する仕組みになっている。
この後者の特性を利用したのが、いわゆる回生ブレーキシステムなので、EVをけん引するときに駆動輪が接地していると、走行用モーターが発電し、車両を損傷するおそれがあるからだ。
とくに事故時はシステムが漏電している可能性もあるため、必ず4輪を持ち上げて搬送しなければならない。
日産リーフの説明書には、「けん引時の注意事項」として、下記のように書かれている。
・車両が動かなかったり、異常な音がするときは、けん引せずに日産販売会社へご連絡ください。
・前輪または4輪を持ち上げてけん引してください。
・やむをえず4輪接地の状態でけん引されるときは、シフトポジションをNにした状態で行ってください。
・この車両は、オートP機能(各シフトポジションの働き)により、パワースイッチがOFFのときはシフトポジションをPからNに切り替えることができません。そのため、12VバッテリーあがりなどでパワースイッチがOFFから切り替えられないときは、4輪接地の状態でけん引できません。
・4輪接地でけん引してもらうときは、速度30km/h以下でできる限り短距離の移動のみとしてください。
・けん引中は、e-PedalをOFFにする。
・けん引中は、プロパイロットをOFFにする。
・けん引中は、踏み間違い衝突防止アシストをOFFにする。
・前輪を持ち上げてけん引するときは、パワースイッチをOFFにする。
このように、万が一のときは4輪接地状態でけん引できなくもないようだが、原則として駆動輪を接地させてのけん引はNG。
もしもEVにトラブルが発生し、動けなくなってしまったら、JAFに連絡入れるのがベスト。JAFでは隊員によるEVのレスキュートレーニングや充電機能付ロードサービスカーの開発も行っているので、非常に頼りになる。
日産車の場合、日産のオペレーターサービスに連絡してJAFを手配してもらうことも可能なので、安易にユーザー同士でけん引したりしないように気をつけよう。