バスを製造するメーカーへのダメージも大きい
テレビや新聞などで、新型コロナウイルス感染拡大により深刻なダメージを受けている業界としてたびたび紹介されるのがバス業界。ビフォアコロナの時代ならば、ほぼバスのいない、昼間の車庫にぎっしりバスがとまっているところを空撮されたり、「予約がすべてキャンセルされた」と、その予約画面が映し出されるシーンをテレビで見たひとも多いはずだ。
確かに都市内を走る一般路線バスを除けば業界のダメージは深刻そのもの。都市間を結ぶ高速路線バスも運休や臨時ダイヤで運行しており、貸切にいたっては絶望的に稼働していないのが現状。ただし、最寄り駅前から工場や流通センターなど、いわゆる企業送迎を請け負っている業者では、運行台数が増えている。これは車内での感染拡大を防止する意味から、たとえば二人掛けシートをひとりで利用するようにしたため、単純にバスが2倍必要になったなどといったことによる。企業送迎を請け負っている事業者はこれでなんとか食いつないでいる状態である。逆に学校の通学バスの運行を請け負っている事業者は休校が相次いだことなどから、倒産したケースもあった。
しかも深刻なのはバスを運行する事業者だけではない。バスを製造するメーカーも深刻なダメージを受けている。「じつは10月以降に生産予定だったバスは、メーカーを問わずすべてキャンセルされているようなのです。そのためバスメーカーだけではなく、たとえばシートメーカー、架装を請け負う業者なども新規の仕事がまったく入らない状況となっているとのことです。このような状況は2021年度、つまり2021年4月以降も続くのではないかともいわれています」(事情通)。