クルマの進化でボディアースを取りにくくなってきている
クルマイジリが好きな方は耳にしたことがあるだろう、アース線。アースとは、接地という意味で、地球のアースと語源は同じだ。クルマの場合、あちこちに電装品が付いていて、それらを作動させるために電気を供給している。そのため大量の電線が張り巡らされている。
電気にはプラスとマイナスがあり、両方とも配線にすると増えすぎてしまい、かさばるだけでなく重量も増えてしまうので、戻す側のマイナスはボディそのものを使用している。最初に紹介したアースの意味は、ボディ骨格に対して接地させていることに由来する。
もちろんボディをマイナスにする必要はなく、1960年代ぐらいまでの欧州車、とくにイギリス車ではプラスアースのクルマも存在はしていた。ただ、マイナスのクルマと混走することになるため、もしボディ同士が接触した場合、ショートの危険などがあり、プラスアースというのは結局なくなってしまった。
アースというのは家電にもある。説明書にも取るように指示があり、コンセントから緑のアース線が出ていることがあるが、これはマイナスを流しているわけではなく漏電などが発生した場合に逃がすためのもの。そもそも家庭は交流なので、どっちがマイナスというのは決まってもいない。直流のクルマとは根本的に仕組みからして違うのだ。
今では壁の差し込み口にアースの接続端子が付いているため、そこにつなげればよく、その昔は屋外まで伸ばして地中に埋めたりもした。まさにアースというわけで、英語ではグランドとも言うのも、同じく語源はここにある。
最近のクルマではバネルの樹脂化やシガーソケットの廃止、パネルのコンシールド化などでボディアースを取りにくくなってきているため、後付けで電装品を付ける場合は苦労を伴うこともある。アースといってもすべてのマイナスがボディを使っているわけではなく、一部にはコードを使用しているところもあるので、マイナス線を調べて探す機会も増えた。テスターはDIYでも活躍するので、簡単なものでいいので、ひとつ持っていると重宝するだろう。
また、一時流行ったアーシングというのは、アースにINGを付けた言葉で、マイナスの強化を狙ったもの。ボディパネル同士の接合などは電気が流れにくい、エンジンとボディは離れている、エンジンマウントは絶縁体のゴムのため純正状態で細いコードでつなげているだけなどの理由からロスが多く、そこを補強するのを目的としたのがアーシングだ。
今後は電装品の48ボルト化なども進む可能性があり、アースにはどのような影響があり、どういう仕組みになっていくのかが気になるところだ。