ガソリンはタンクの半分ぐらいになったら満タンにすることを推奨
東日本大震災発生時に痛切に感じたのが、ライフラインというのは非常にもろいということ。クルマに関しては、ガソリンスタンドが売り切れ続出で、入手できても量に制限があったりと、かなり苦労したのは記憶に新しい。
また、大雪や台風などでもガソリンスタンドが営業不可能になることも、最近では珍しくなくなってきた。それらを教訓とし、遠くない将来発生すると言われている南海トラフ地震や首都直下型地震に備えるべく、「満タン&灯油プラス1缶運動」というのが展開されているのはご存知だろうか。
全石連・都道府県石油組合が主催するもので、石油連盟・全日本トラック協会・日本ガソリン計量機工業会が協賛し、後援には内閣府政策統括官(防災担当)・資源エネルギー庁・国土交通省などが名を連ねる、大々的なものだ。
内容としては文字どおり、クルマのタンクはできるだけ満タンにし、家庭用の灯油も1缶多めに買い置きしておこうというもの。とくにガソリンについてはポリタンクに入れて家に置いておくことはできないし(静電気で爆発の恐れがある)、保管できても腐るので長期間は不可能。そう考えると、クルマのタンクを仮想的に備蓄用として使うのは意味があることで、タンクの半分ぐらいになったら満タンにすることを推奨している。
満タンであれば大体のクルマが400km以上は走れるし、アイドリングであれば約2日間ぐらいもつ。アイドリングができれば、酷暑や極寒でも車内に泊まることができ、ラジオから情報収集も可能だ。もちろんエコではないが、災害時にはそうも言っていられない。
灯油についてはクルマは関係ないが、1缶(18リットル)あればストーブを中レベルにして七畳の和室を約85時間暖め続けられるとのこと。またガスが来ない場合の煮炊き用の燃料にも使用可能だ。
要するにガソリンに余裕を持たせることで、クルマが避難基地になりうるという考え方で、自動車メーカーにも対応の動きが出てきている。トヨタでは100V・1500Wのコンセントをハイブリッド、PHV、燃料電池車に続々と装着していて、2020年9月1日現在でウェブサイトを見ると、17車種にも及ぶ。また2個以上付いているクルマも多く、アルファード&ヴェルファイアには最大で5個も付いているので、ガソリンさえあれば発電ステーションとして活用できる。
逆を言えば、せっかくの100Vコンセントもガソリンがなければ宝の持ち腐れ。コンセントが付いていないクルマでも、シガーソケットからインバーターを使えば100Vが取り出せるので、いずれにしても燃料が重要になってくる。日頃から、できるだけ満タンにするというのは、災害への備えという点で大きな意味があるのは確かだ。皆さんもぜひ日頃から心がけてみてほしい。