クルマによってここまで差があるのはなぜ? シートの座面の高さが決まる要因とは (1/2ページ)

同じプラットフォームでも用途に合わせてヒップポイントは変わる

 運転者の着座位置は、ヒップポイント(着座した際の尻の位置)で表されることが多い。ヒップポイントの地面からの高さが、視界を含めた運転のしやすさや、クルマへの乗り降りのしやすさにも関わる。

 ヒップポイントは、スポーツカーのような走行性能を重視する車種ではより低く、車両だけでなく人が乗った際にも重心を低く保つように配慮されている。たとえば、マツダのロードスターの場合、ヒップポイントを下げるために座席の構造を変更し、前型に比べ現行車は2cmもヒップポイントを低くした。スポーツカーでは軽量化も重要で、ロードスターはグラム単位で各部位の軽量化を行ったことで知られるが、低重心のための努力もあらゆる視点から行われている。

 一方、SUV(スポーツ多目的車)などでは、路面と床との隙間(最低地上高)を確保するため必然的に車高は高くなり、同時に、前方視界をより遠くまで見通しやすくするため、座席を高くしてヒップポイントが高めになる傾向にある。

 たとえば、プリウスの運転席のヒップポイントは約515mmであり、C-HRは約610~630mm(FFと4WDで違いがある)である。またそれぞれ、シートリフターの操作によって、60mmのヒップポイントの上げ下げが可能だ。

 プリウスとC-HRはTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)と呼ばれるプラットフォームを基本としており、床構造は基本的に同じといえる。しかし、車種の目的によってヒップポイントが違ってくるのである。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

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乗馬、読書
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池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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