重量配分など走行性能面ではFRに分がある
「自動車の本質はFRにあり。走りを味わうならFR(RWD・後輪駆動)が絶対に有利だ」と主張するクルマ好きは少なくない。たしかに操舵と駆動を担うタイヤが前後でわかれていることは有利に感じるし、タイヤグリップは摩擦円を超えられないという物理の基本からすると後輪駆動に分があるという理屈には納得できる。
ハンドリングに影響する重量配分においてもエンジンを縦置きしてリヤにディファレンシャルを置くFRレイアウトというのは有利な傾向にある。さらに商用車など荷物を積むクルマでは、フル積載時でリヤが沈み込んだときのトラクション性能において後輪駆動は有利で、トラックや大型バンになると、その多くはほとんどがFRレイアウトを採用している。
そうした面がありながら、ほとんどの自動車メーカーはFF(フロントエンジンの前輪駆動)をラインアップの中心としている。その最大の理由は燃費性能にある。同じエンジンを積むとして、FRになると前から後ろに駆動を伝えるためのプロペラシャフトというパーツが必要になる。ここには駆動力がかかるため丈夫に作る必要があり、それなりに重い部品になってしまう。
また、プロペラシャフトを介するということはそれだけ抵抗を生む要素が増えることになる。単純にエンジンとトランスミッション、ディファレンシャルでのメカニカルロスが同じだとしても、プロペラシャフトがあるぶんだけ重量面と抵抗面でFRは燃費性能に不利なのだ。