レーシングモデルでも「ぶつからない技術」を採用
ロサンゼルスで開催中の「LOS ANGELES AUTO SHOW 2016」。ポルシェは、ル・マン24時間レースのGT規定に準拠したレーシングマシン911RSRをワールドプレミアした。
今回の新型で驚くべきは、伝統のRRレイアウトをやめ、4リッター直墳水平対向6気筒エンジンをミッドシップレイアウトしている点。これによりリヤに大型のディフューザーを装着することができ、ダウンフォースとエアロダイナミクスの効率が大幅に改善されたという。ちなみに最高出力はリストリクターのサイズに応じ約375kW(510馬力)を発揮する。
911を名乗るレーシングカーとしてミッドシップの採用は90年代に活躍した911GT1シリーズ以来。当時は強敵マクラーレンF1を打ち負かすために誕生した経緯があった。事実、RRの993GT2では、コンペティションの世界ではマクラーレンはおろかフェラーリF40にも歯が立たなかった。今回の仮想敵はレースありきで開発されたフォードGTあたりだろうか?
また、レーシングカーで初めて「ぶつからない」技術が投入されたことにも注目。「コリジョン・アボイド・システム」と呼ばれるそれは、ナイトレースで速度差のあるLMPプロトタイプを早期に検知して接触を回避する、レーダーサポートによる衝突警告システム。耐久王者のポルシェらしい、生き残るための電子デバイスという訳だ。
ポルシェは2017年にル・マン24時間レースを含むFIA世界耐久選手権(WEC)と米国のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権など19のレースで新型911RSRを投入する予定。勝利のためには911を伝統のRRをも捨て去るという、ポルシェの姿勢に脱帽だ。