排気量が小さいクルマほどエアコンの使用による燃費悪化率は高い
ウイズ・コロナで生活のさまざまな部分で節約している人は多いと思う。クルマは車両の購入費用だけでなく、税金、保険、ガソリン代、高速代など、ランニングコストがかさみ、家計を圧迫しかねない。
とはいえ、ウイズ・コロナだからこそ、プライベートな空間ゆえ、安心できる移動手段でもある。そこで、こんなことを考えてはいないだろうか? 「エアコンをなるべく使わないようにして燃費を良くしたい」。
たしかに、クルマの燃費性能を悪化させる要因のひとつが、エアコンの使用だ。軽自動車メーカーの技術者によれば、660ccという小さなエンジンの場合、真夏のエアコン使用による燃費悪化率は最大約20%にもなることがあるという。約20%と聞くと、かなり大きな悪化という印象を持ってしまうだろう。
ちなみに、大排気量エンジンになると、エアコン使用による燃費の悪化率は縮小傾向にあるのはもちろんだ。小さなエンジンだからこそ、コンプレッサーを回すことによる損失が大きくなる理屈だ。
が、燃費を向上させるため、真夏日にエアコンをオフにするのはナンセンス。JAFのテストによると、晴れ、気温35度の日に炎天下の駐車場にクルマを4時間放置すると、車内最高温度は50度以上になることもあり(ダッシュボード上は70度以上)、窓を3cm開けても、サンシェードを装着しても、車内最高温度は50度を下まわらない、という。それがエアコンを使うことで快適温度の26度まで下がるのだ。
熱中症指数という熱中症の危険度を示すデータもあるのだが、上限25度で注意、28度で警戒、31度で厳重警戒、それ以上になると命の危険を伴うのだから、怖い。50度ともなれば、脱水症状を超え、死に至る危険度だ。軽度でも、熱中症になって意識がもうろうとすれば、ドライバーの命どころか、他車、他人を巻き込む事故を起こす可能性も高まる。
たとえば今どきの軽自動車なら、制限速度以下で走っていれば20km/Lの実燃費もめずらしくないが、それが約20%減となっても16km/Lになるだけ。不快な思いをしてまで、命にかかわる暑さに耐えながらクルマに乗ることなどバカバカしい。
真夏にエアコンを使わずに得られる具体的なガソリン代の節約金額は、もっともエアコンのオン/オフでの燃費差が大きいとされる軽自動車で算出すると、一例として、エアコンオフで20km/L、エアコンオンで16km/Lの実燃費、レギュラーガソリン1リットルが130円として、月に500km走るとすると、月に780円の節約にはなる(月に250kmなら390円である)。が、エアコン使用による快適と、不快、事故を誘発する危険度とを天秤にかければ、小さな金額と考えるのが正しくはないだろうか。エンジンの排気量が大きければ、その金額はグッと小さくなるのも事実である。