同じ強度なら鉄とアルミは同じ重さになる
アルミニウムというのは1円玉に使われている、軽い金属です。鉄と較べると3分の1の重さで、引っ張りの強さも3分の1です。つまり素材そのものでいえば、同じ強度なら同じ重さになります。アルミニウムのほうが体積が3倍になりますから、むしろ厄介です。
しかしアルミニウムと鉄では、その性質が違うので製法が違ってきます。アルミニウムは柔らかいので形状を複雑にすることができるのがメリットで、ボディの構造材として考えると設計で強度を上げることができます。それで結局、同じ強度であれば鉄に対して3分の2程度の重量で抑えることができるのが、アルミニウムのメリットです。
クルマにとって軽量であることは正義です。走行性能でも、燃費でも、軽量化はメリットばかりなんです。だからアウディがR8やA8、そしてTTなどに採用しています。
またジャガーもまたアルミボディを採用しています。でも日本の自動車メーカーはアルミボディに対して、消極的です。モノコックにアルミニウムを使っているのは、唯一ホンダだけです。
ホンダはバイクの世界では圧倒的なトップブランドで、クルマの世界でいうとトヨタとVWとGMを足してもまだ足りないくらいの市場占有率です。そのホンダはモトGPをはじめてとする高性能スポーツバイクに、古くからアルミニウム素材を使ってきました。
クルマでもいち早くアルミブロックのエンジンを登場させました。そうしたノウハウがあってアルミボディを採用できたのかもしれません。
最初は初代NSX、初代インサイト、そして新型NSXに採用されています。初代NSXと初代インサイトが生産されていた高根沢工場は、新たな変電施設を新設するほど、多くの電力を必要としました。アルミニウムの生産や加工には、多くの電力が必要になるんです。