スポーツカーに限らず冷えているときは金属音が出る
スタートボタンを押すと「ブワン」という音でエンジンが目覚めて、同時に目の前のメーターが何か派手にいろいろな動きをする。それが最近のスポーツカーの流儀です。電気がコクピットにも変化をもたらしています。しかしエンジンを始動した直後の金属音の大きさは、そう変わらないように思います。今回はその時の音について、解説してみたいと思います。
エンジンの出すカチャカチャ、ジャカジャカという金属的な音は、パーツ同士がぶつかる音です。ぶつかるということは、隙間が存在するということですね。最初から接していれば隙間がないので、ぶつかることはありません。つまり隙間をゼロにすれば、そういう音も出なくなります。しかし、そういうワケにはいかないんです。
金属は温度が上がると膨張します。エンジンが温まると内部のパーツは膨張して、少し大きくなるんです。同じ金属素材で作られていれば膨張率は同じですが、実際にはいろいろな金属が使われていて、膨張する量は異なります。
もしエンジンが冷たい時に隙間がゼロだったら、温まった時には隙間がマイナス、つまり食い込んでしまうことになります。それではエンジンが動かなくなってしまいます。
ここまで読んで判ったと思いますが、エンジンのパーツは温まって熱で膨張した時を想定して設計されています。だからエンジンが冷えている時は隙間が大きく、金属音が出てしまうんですね。逆にいえばエンジンから金属音が消えてくれば、エンジンが温まったという合図にもなります。本当はその隙間を埋めてくれるのがオイルなんですが、始動直後はオイルも冷えていて硬く、柔軟性が十分ではないんですね。