デザイン性もあるが湾曲ガラスに密着させることが主目的
ワイパーにはいくつか種類がある。通常のパラレルタイプだけでなく、1本タイプ。さらに動く向きも視界確保のため、右ハンドルと左ハンドルで違っていたりする。
そのなかで、異色なのが通称ケンカワイパー。左右のワイパーが並行に、同じ方向に動くのではなく、中央から左右にそれぞれ開くように作動する。戻るときは両側から内側に向かってくるので、ケンカワイパーと呼ばれる。
では、なぜこのような特殊な動きをするというか、させるのか。古いところでお馴染みなのは1960年代後半のジュリア系アルファロメオだが、デザイン性というのはあるだろう。しかし一番大きな理由は、ワイパーというより、ガラス形状にある。
アルファロメオもそうだが、左右が大きく湾曲しているガラスの場合、パラレルタイプや1本タイプだと収納状態で、先端側部分が密着できずに浮いてしまう。これだと見た目も悪いし、視界も確保できないし、突起物としても危険だ。ケンカワイパーだと、左右の端はワイパーが立った状態で当たるので、チャンと拭けるし、収納状態で浮き上がることもないのだ。
最近ではデザイン重視でガラスも大胆に湾曲していることもある。フニャフニャのいわゆるエアロワイパーは追従性に優れることもあって、採用が増えているが、それでも完全ではない。そのため、ケンカワイパーは今でも健在なのだ。