静かなタイヤは「溝」でわかる! レーシングドライバーが教える「溝の見方」と騒音の仕組み (1/2ページ)

近年ではEVやHVの普及でタイヤの静粛性も重視

 タイヤにはさまざまな性能が求められる。「自動車が地面と接しているのはタイヤの接地面だけ」ということからも明らかなように、どんなに優れたエンジンやサスペンションを装備していてもタイヤがきちんと性能を発揮できなければ無意味になってしまう。

 重要なタイヤなだけに、ドライグリップやウエット性能、転がり抵抗や耐摩耗性など操縦安定性や安全性にかかわることには皆さんも大きな注意を払って選択していると思う。基本的には自動車メーカーが標準装着するタイヤがそのクルマの性能にもっとも適していてバランスもいいはずだが、今回はより「静かなタイヤ」を選ぶにはという点にフォーカスして解説してみたい。

 静かなタイヤ(静粛性)の高いタイヤは近年HV(ハイブリッド車)やEV(電気自動車)の普及が進み、より重要視されるようになった。ガソリン車ではエンジンの排気音が大きく、タイヤの走行音はあまり重要視されていなかった。エンジン音の対する遮音を徹底すればタイヤの発するノイズも対外は遮蔽することができるからだ。

 スポーツカーのようにエンジン音自体も楽しむために遮音を省くとタイヤの走行音も大きく聞こえてくる。だがクルマ好きなら走行することで発せられる音のすべてが車両状態のインフォメーションであり、むしろ遮蔽したくないという考えもある。遮音材は重量も嵩むので走りを追求した軽量化チューニングでは真っ先に取り除かれてしまう。

 だがHVやEVではそうはいかない。スポーツ走行性よりも燃費、安全性、快適性が高く求められる。走行時に発するロードノイズの大半がタイヤが発する走行音となり、これを遮音するだけでかなりの遮音材を装備しなければならなくなった。そこでタイヤ自体が発するノイズを低減する技術が急速に進歩している。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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