エンジンのダウンサイジング化は今後も加速しそうだ
従来よりも排気量が小さくて燃費や排出ガスを抑え、高効率ターボ過給により出力を補うダウンサイジングターボ。世界の主流エンジンとなってすでに久しく、多段化されたATとの組み合わせにより、小さい排気量とは思えない優れた動力性能を発揮する。
フェラーリやポルシェなどスーパースポーツ級でさえ、ダウンサイジング化が進むようになった。高級サルーンの代名詞であるメルセデスのEクラスでも、4気筒2リッターが主力だ。時代も変わったと思いきや、去年追加されたエントリーグレード向け新エンジンの排気量は、なんと1.5リッター。Eクラスが昔のシビックよりも小さなエンジンを積むようになったのだ。電気モーターアシスト付きとはいえ、隔世の感を禁じ得ない。
乗ってみると、いずれのダウンサイジングエンジンも走りっぷりに不満はなく、高度なテクノロジーに感心させられるばかりだ。高速道路で粛々と巡航すれば、車格からは信じられない低燃費が出せたりもする。「大排気量=偉い」というヒエラルキーもほぼなくなり、エンジンのダウンサイジング化は、今後も進むことになるのだろう。
しかし、普通に速くてエコならば、もう大排気量エンジンは必要ないのか? と言われれば、そんなことはないと答える人が少なくないのも事実。性能的、実用的には不満がなかったとしても、やはり人間の五感にうったえる部分の性能や官能性においては、ダウンサイジングエンジンにまだ課題アリと感じさせる場面が多々ある。
とくに高級サルーンやSUVなど、車格や車重が大きなクルマのダウンサイジングエンジン車に乗ると、必要にして十分ながら何か物足りない、どこかケチくさい、などと感じてしまうのだ。