この記事をまとめると
■クルマの話になると度々「ロール」「ピッチ」「ヨー」という言葉を耳にする
■これはクルマの揺れの方向を物理的に分解したもの
■それぞれの意味について詳しく解説する
3次元のクルマの動きを3軸に分解したもの
走っているクルマは、前後左右上下といった具合に、三次元的に揺れている。その揺れの方向を物理的に分解したのが、ローリング、ピッチング、ヨーイングと呼ばれるもの。
●ローリング
ローリングから説明すると、クルマの車体を重心の位置を中心に前後に貫く軸を、X軸といい、このX軸まわりに発生する回転モーメントのことを、ローリングという。もっと簡単に言えば、横方向への傾きのことだ。
ローリングはこのX軸(ロールセンター)と、車体の重心が離れていれば離れているほど、大きくなるので、車高が高くて、座席の位置も高いバス、とくに2階建てバスの2階席では、ちょっと交差点を曲がったりすると、このロールを大きく感じる。
逆にいえば、車高を落とせばこのローリングは減らせるので、運動性能を追求するスポーツカーの車高は低い方が望ましい。
ジムカーナなどでは、ドアの窓を下げることで、重心を落としたりもしているし、BMW M3CSLのカーボンルーフなども、重心から遠い部分の軽量化が、よく“効く”から、採用されたシロモノ。
クルマの場合、通常は、X軸=ロールセンターは、車体の中心よりも低いところにあるので、コーナリングしはじめると、車体は外側に傾くが、モーターボートなどは、重心よりもロールセンターが高い位置にあるので、旋回すると内側に傾く。物理的には、重心の高さとロールセンターの位置を一致させれば、まったくロールしないクルマもでき上がる。
かつて、ボルボがコーナリング中、車体が内側に傾く、逆ロールサスペンションのデモカーを走らせたこともあるし、ベンツのS65 AMGに搭載された「ダイナミックカーブ機能」も、逆ロールするシステムとして注目された。