一番のネックは燃費の厳しさ
マツダが世界に誇りつつも、消えてしまったロータリーエンジン。復活が明言されているものの、具体像は見えてこないし、一時は開発は中止しているとまで言われていたのもまた事実。それほどロータリーは難しいエンジンなのだろうか。
詳しいことを説明しだすと、どれだけスペースがあっても足りないので、なくなった理由に絞って紹介しよう。まず、理論的には素晴らしいものであるのは確か。コンパクトながら、高出力だし、往復運動を回転運動に変換する必要もない。
それだけにマツダ以外にもチェレンジしたメーカーはけっこうあって、元祖のNSU以外にもシトロエンも搭載。さらにバイクではスズキが市販化している。また日産もサニーに搭載する直前までいっている(モーターショーで発表。オイルショックで頓挫)。
ただ、マツダも含めて、モノにならなかった原因はいくつかある。まずは耐久性。構造面で代表的なのが、アペックスシールだ。おにぎり型のローターの先端に付いているもので、レシプロエンジンでいうところのピストンリングなのだが、耐久性に欠け、減るとガス抜けが起ってしまう。
そのほか、回転運動ゆえの低回転での振動の大きさやプラグ交換のしにくさなどもある。またメンテ関係では、オイルの減りも大きいだろう。減りの原因はすでに紹介したアペックスシールとハウジング(エンジンブロック)内側との潤滑が特殊で、一緒に燃えてしまうためだ。
また一番よく言われるのが、燃費の悪さ。表向きの排気量は654ccとコンパクトだが、1.5倍の係数にさらにローター数をかけるので、2リッタークラスと同等になる。
ただし、動的な状態での比較。レシプロのクランクシャフトとロータリーのエキセントリックシャフトのそれぞれの1回転での燃焼状況を比較するともっと差は開くことになってしまう。
小さい排気量から高出力を出せるのがメリットということにもなるのだが、燃費が悪いこともセットになっているといっていいだろう。また低回転だと燃焼効率が悪いのも拍車をかけている。
そのほか、騒音の高さなどもデメリットとしてあるが、水素なども使いやすかったり、小排気量でも安定して回る(レンジエクステンダーの発電機など)といったメリットもあるだけに、復活の可能性もまだあると言っていい。