まずはドライビングポジションを見直す
今や、新車販売の2%未満に過ぎないMT(マニュアルトランスミッション)車。そんな少数の、こだわりユーザーが選ぶMT車だからこそ、なめらかな操作はマスターしておきたいところ。MT車のシフトチェンジを上手に決めるコツは、ずばり、クラッチをきちんと切ることと、力まないこと。簡単なようだが、この基本が一番大切。
じつは、そのどちらもドライビングポジションが大きなカギを握っている。まず、ドラポジが遠いと、クラッチをきちんと切ることはできない。シートに奥深く腰かけて、できるだけ、お尻の上部=仙骨付近とシートの間に隙間ができないように座る。そのうえで、クラッチを床まで踏んだときに、膝が伸びきらず、少し曲がって余裕がある程度まで座面を前進させておく。
シートバックはなるべく立てて、首がまっすぐ立つようにし、ステアリングの上端を握ったときに肩がシートから離れず、肘が伸びきらない位置がベスト。
シートに身を預け、上半身全体をシートにホールドしてもらうことで、腕や肩、上半身の余分な力をできるだけ抜いてリラックスするのが一番のコツ。
ちなみに座り方が浅くて遠目のポジションで座っている人は、運転中腰が疲れやすく、腰痛の原因にもなるので、もう一度ポジションを見直してみよう。
そして、シフトレバーもワシ掴みせず、できるだけソフトに包み込む。
余談だが、日本のレーシングレジェンド長谷見昌弘氏は、まだF1マシンがHパターンシフトだった頃、モナコGPに出場した某ドライバーが、「78周の決勝レースで、4000回以上シフトチェンジし、掌にマメができた」とコメントしているのを見て、「力んでシフトをしている証拠。プロドライバーとして恥ずかしい」と嘆いていた……。