ある意味「普通」の小型SUVキックス
次期ジュークがなくなり、キックスが日本にくる。
以前からあったこの噂が昨年(2019年)後半に確定して以来、自動車関係者はもとより、一般ユーザーの中でも賛否両論がある。果たして、キックスは、激戦区の日本コンパクトSUV市場で戦闘力があるのだろうか?
まずは、なぜ次期ジュークがないのか、を考えてみたい。
ジュークが登場した2010年「まさか、プロトタイプそのもののような、こんなデザインで量産されるのか!?」と、日産の競合他社や世界各地のユーザーが驚いた。ジュークが生まれた背景には、欧州キャッシュカイ(日本名デュアリス)の成功があった。コンベンショナルなコンパクト4輪駆動車として成功したのだ。その上で、遊び心を持った過激なコンパクトSUVとしてジューク量産化計画にGOがかかった。
ところが、2010年代中盤になると、アメリカを中心としてSUVのダウンサイジングとC/DセダンからコンパクトSUVへ市場がシフトし始めた。そうした中で、日産としてグローバル市場でのコンパクトSUVを考える上で、新興国ではダットサンブランドとの商品の差別化も意識した上で考案されたのが、キックスである。
要するに、キックスはジュークのように「尖ったクルマ」ではない。しかも、現行車が登場したのはいま(2020年)の4年前となる2016年であり、通常モデルながらフルモデルチェンジに向けた開発が本格化する時期である。
そんなキックスが参入する日本市場では、トヨタCH-R、ホンダ・ヴェゼル、マツダCX-3/CX-30、スバルXVなど、個性豊かなクルマばかり。
本当に、キックスは日系ライバルたちに太刀打ちできるのか? そう感じるユーザーが多いのは当然だと思う。