一般投資家からの資金集めの点でメリットはある
2017年度より、富士重工業はSUBARUに社名を変更する。クルマ好きからすれば、富士重工業=スバルという認識なのは当然だろうが、多くの投資家にとってスバルという人気の高い自動車ブランドと富士重工業が一致していたとは限らない。
まして海外の投資家にとって、フジ・ヘビー・インダストリー(FHI)とSUBARUはイコールでつながらないだろう。富士重工業の社名変更は、スバルというブランドの強さを企業としても十分に利用するのが大きな目的だと考えられる。
具体的には、資金を集めやすくなることを期待できる。
一方で、社名がSUBARUになることで、スバルのクルマ作りに何か変化が起きるかといえば、すぐに目に見えた変化が起きるとは考えづらい。
そもそも、しっかりとした芯のあるスバルのクルマ作りがあってこそ、社名を変更することで企業価値を高めるというストーリーのはずだ。ここでスバルのクルマ作りがブレてしまうようでは、本末転倒といえる。
しかし、冒頭で触れたように一般投資家からの資金を集めやすくなるだろうから、開発費などの資金を確保するという点では有利になる。開発費が増えれば、水平対向「ボクサー」エンジンや先進安全技術「アイサイト」の進化が進むことが期待できる。ただし、それは開発費をスバルというブランドが必要な部分に集中して投入できればという話。
ありえない仮説だが、資金を集めやすくなったことで、スバルがフルラインメーカーになろうとするなどリソースの分散をしてしまうと、逆効果になってしまうかもしれない。