一般的にCVTはスポーツモデルには不向きとされている
一般的なクルマ好きの間では、あまり人気のないトランスミッションであるCVT。とくにスポーツカー好きからは支持率が低く、「俺はCVTが大好きだ!」などとCVTを激推しする人は極めて少数派だ。むしろ、CVTというだけで購入の候補から外す人も少なくない。
世間的にはともかく、CVTが一般的なクルマ好きから毛嫌いされがちな理由は、アクセルを強く踏み込んだ際にエンジン回転と速度に差が生じるという、構造上の特性による独自の加速フィーリングに違和感を覚える人が多いせいだろう。
CVT(コンティニュアスリィ・バリアブル・トランスミッション:無段変速機)と言ってもいくつかの種類があり、ここではもっとも古くから使われている金属ベルト式のCVTを前提とするが、CVTがスムースで低燃費性に優れたミッションであることは間違いない。ミッションケースは比較的コンパクトだし、コスト面も有利とあって、多くの国産メーカーが実用車に採用。とくに小型車やミニバン、中型までのSUVに幅広く採用されている。微低速域でも変速ショックがなく、低燃費性に優れたCVTはストップ&ゴーが多い日本の道路には最適だ。
しかし、スポーツモデルに限ってみると、CVTを採用するのはほぼSUBARUのみ。そんな実情から「CVTはスポーツモデルには不向き」と判断されがちとなっている。実際、CVTは意図的に変速の段付きを与えないとスポーティ感が乏しくなる、現状では50km-gを超える高トルクには耐えられない、高出力域では駆動伝達効率の悪さが顕著となる、といったネガ要素があるので、一般的にはスポーツモデルには不向きとされている。また、ギヤ式ATの多段化が進んだことで、変速ショックが気になるATはほぼなくなりつつある現状からも、相対的にCVTのメリットが減ったと言えるだろう。
しかし、SUBARUは2009年発売の5代目レガシィ以降、リニアトロニックと呼ばれるCVTを主力ミッションとしており、後輪駆動のBRZ以外の全車に採用。WRX S4やレヴォーグなど最大トルクが40km-g以上のスポーツモデルにも対応させている。2020年後半に発売予定の次期型レヴォーグはさらに高出力化されるといわれているが、ミッションはCVTのリニアトロニックの進化版だ。
SUBARUがCVTにこだわる理由はたくさんあるが、簡単、かつ強引にまとめると「SUBARU車は特殊だから」という一言に尽きる。