キャトルやサンクはすべてフランス語読みの数字
人に愛称があるように、クルマにも愛称がある。ハチロク、ケンメリ、テントウムシ。これらは車名と別に付けられた呼び名である。
また、もともとの名前が愛称のようなクルマもある。イタリアのフィアット500は本国ではイタリア語で「チンクエチェント(500)」と呼ばれ、日本でも「チンク」などと愛称で呼ばれることが多い。
一方で、フランス車のプジョーは「308(サンマルハチ)」や「2008(ニーマルマルハチ)」など、数字読みの車名がメインだ。最初の数字が車格を表わしており、数が大きくなるほど車体が大きくなる。未尾の数字は世代を表すのがルールとなっている。
同じフランス車のルノーもそうだった。現在は、カングーを始めメガーヌやキャプチャーなど単語となっているが、1990年までルノーは数字を車名にしていた。しかしプジョーとの違いは、日本において日本語で読まず、フランス語の読みを用いていたところだ。
よく「アン・ドゥ・トロワ」という言葉が、テレビで見るバレエの練習シーンで使われている。これがじつはフランス語だということをご存じだろうか。日本語に訳すと「1、2、3」という意味だ。
1960年代から80年代まで、3から30までの数字を車名にしていたルノー。そのなかで日本でも有名な車種は「4(キャトル)」や「5(サンク)」、そして「21(ヴァンティアン)」といったところだろうか。
現在では数字車名を廃止し「エクスプレス」や「ルーテシア」など単語へと切り替わっている。
先のプジョーや、ドイツ車のBMWなどは現在も数字の車名を使っているが、BMWも320(サンニーマル)や523(ゴーニーサン)など、日本語で数字を読むだけだ。
日本においても、フランス語読みの数字の車名が、まるで愛称のように使われてファンに愛されたルノー車。フランス文化を大切にするルノーがゆえの希有な例だといえる。