性能劣化じゃ済まない! エンジンオイルを交換しないと起きることとは

最悪エンジンが再起不能に……

 以前は3000kmもしくは3カ月毎という時代もあったオイル交換。最近ではオイル質やエンジンの性能向上などによって、1万2000kmもしくは1年毎というのが純正指定では増えているし、ドイツ車では3万km毎といったロングライフでの指定もある。逆を言えばいくら進化してもメンテナンスフリーではないということ。では、オイルを交換しないとどうなるのだろうか?

 まずどんどん減っていく。ピストンとシリンダーのすき間から少しずつ燃焼室に入って燃える分もあるし、ごくわずかながら蒸発もする。また経年車であればガスケットやオイルシールの劣化で漏れることもあるだろう。いずれにしても、放置すると規定の下限よりも減ってしまうことがある。

 次にオイル性能の低下。オイルの寿命というのはベースオイルや配合されている添加剤が決められた機能を発揮されなくなる時点と言ってもいい。つまり性能が飛んでしまう状態になってしまうわけだ。

 そして目に見えるのが、スラッジやカーボンの大量発生。劣化したオイル成分などが原因でできる泥のようなものがスラッジで、炭化したものはカーボンと呼ばれる。いずれにしてもドロドロしていたり、石のように硬くなっているのが特徴で、イメージとしてはオイルが煮詰まってしまったものと考えるとわかりやすいだろうか。

 これがどんどんエンジン各部に堆積していくと、潤滑が必要な部分にオイルが回らなくなったり、オイル経路自体が目詰まりすることになってしまう。

 以前、知り合いの修理工場で見たのは、ヘッドカバーを外したエンジンで、カムやバルブの上に岩状になったカーボンが大量に堆積しているという状態。普通はスラッジで指ですくうと取れるが、こちらはカチカチ。まるで西部劇に出てくる荒野に連なる岩山のような感じで、潤滑以前の問題だった。

 除去できなくはないが、もちろんここまでくるとエンジンを載せ替えたほうが早くなり、費用も手間もかかってしまう。ちなみにそのオーナーは、オイルを交換するのではなく、継ぎ足して乗っていて、それでいいと思っていたとのこと。

 いずれの症状も、行き着くところは潤滑不良。エンジンの消耗を早めるだけでなく、焼き付きや異常摩耗が発生して、オシャカになることも考えられる。最近のクルマはメンテナンスポイントが急激に減っているが、それでも油脂類は残っているということは、それだけ重要だということ。結局潤滑はオイルに頼らないとダメということなのだ。定期的なオイル交換は基本中の基本として励行してほしい。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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