公道でも路面状況によってはMTモードが役に立つ
クルマのエンジンというのは、あるところまでは回転数が上昇するにしたがってトルクとパワーが増していき、ある程度の回転数に達するとトルクもパワーも下降していく定めにある。そのため、効率よく“美味しい”回転数を維持できるように変速機がついていて、その変速を自動的に制御して、つねに効率のいいギヤで走れるようにしたのが、オートマチックトランスミッション、いわゆるAT(オートマ)だ。
したがって、出来のいいATであれば、前進中のギヤのセレクトは全部AT任せにするのが王道。にもかかわらず、スポーツモデルから高級車、そして軽自動車まで、多くのAT車にマニュアルモードがついているのはなぜなのか。
前述のとおり、デキのいいATならマニュアルモードは不要なのだが、どうもATの選んだギヤでは好ましくない……と感じるシチュエーションが訪れたら、そのときはマニュアルモードの出番となる。たとえば、積極的に低いギヤで走りたいとき。
通常のATは燃費との兼ね合いもあり、できるだけ高いギヤで走り続けようとする傾向がある。しかし、長い下り坂などで、エンジンブレーキを効かせたいときは、マニュアルモードで低いギヤを選んだほうが、ブレーキを踏む回数も減って走らせやすい。
また雪道や滑りやすい路面でも、低いギヤのほうが走りやすいときがある。もっとも「B」レンジがついているAT車なら、マニュアルモードでシフトダウンするより、「B」レンジを選んだほうがベターといえるケースも多い。