環境面だけからヒストリックカーを捉える状況に異議!
自由民主党内で、ヒストリックカーの価値向上を考える議員連盟「自動車文化を考える議員連盟」が立ち上がることになり、その設立総会が行なわれた。
「歴史的・文化的に価値のある経年車の保存や地方誘客への活用の促進、その他我が国の自動車文化の振興に気よするための方策を幅広く考えること」をその設立の目的とし、これに賛同する自由民主党所属の国会議員で構成される。その多くがクルマに関心を持ち、またクラシックカーを所有しているようだ。
呼びかけ人であり、自由民主党モータースポーツ振興議員連盟にも名を連ねる古屋圭司議員が会長を務めることとなった。
ヒストリックカーなどの経年車には、メンテナンスやパーツの調達、そして保管とさまざまなハードルがあるが、その上にさらにのしかかってくるのが自動車税などの課税。新車新規登録からガソリン車で13年経った車両は自動車税で15%(軽自動車は20%)の重課制度となる。自動車重量税は13年超、18年超でそれぞれ重くなる。燃費や排気ガスなど、環境に対するインパクトがより少ない車両への税制優遇と対をなすものである。
この設立総会には、総務省、財務省、文化庁、経済産業省、国土交通省からも出席者があり、各省各局から、現在の自動車税・軽自動車税および自動車重量税における経年車の重課税の状況の説明、そして、経過年数別の自動車保有台数の現況についても説明が行なわれた。
これが欧州などではヒストリックナンバー制度(ドイツ)やコレクターズナンバー制度(スイス)、ヒストリックカー免除制度(イギリス)等ヒストリックカーの優遇措置が取られており、これらの例も紹介された。また、この設立総会にはオーナーを代表して全日本ダットサン会の佐々木徳治郎会長らも出席。さらに各自動車メディア、モータージャーナリストも出席し、意見を聞く機会も設けられた。
ヒストリックカーは確かに最新モデルと比べれば環境にやさしくはないものの、基本的に年間の走行距離が少ないことを考えれば実質的な環境負荷は軽微であったり、元来日本人が得意とするモノを大事にし、捨てないことのほうが環境にやさしいのであるといったことなどが話された。
話の中心は税制に集中したものの、ヒストリックカーが地方活性イベントなどにも活用されていることなどの例もあるように、自動車文化の振興に寄与する方策も検討できる。これまでの環境に良くないという視点だけでの仕組みを見直し、新しい切り口で税制を作り上げていきたいという。
最後に古屋会長から「税制改革だけにとどまらず、地方創生への寄与など、自動車を文化としていろいろな提案をし実現していきたい」と第一回目の総会は締めくくられた。今後の活動に期待したい。
(写真:青山義明)