高価なタイヤなのになぜ? 新型トヨタ・スープラはなぜ最廉価グレードのみランフラットを採用するのか (1/2ページ)

万が一のパンクでも安全な場所へ移動できるのが強み

 トヨタの新型スープラは、もっとも廉価なグレードであるSZにのみランフラットタイヤを標準装着している。より上級のSZ-Rと最上級のRZは、非ランフラットだ。これは、共同開発が行なわれたBMWのZ4も同様であり、スタンダードはランフラットタイヤを標準装着するが、それ以上のグレードは非ランフラットとなっている。

 スープラは、基本的な部品についてZ4と共用しており、それをどのようなクルマに仕立てるかでトヨタの独自開発が行なわれた。したがって、共用部品となるタイヤのサイズによって、ランフラットと非ランフラットがわかれている。

 ランフラットタイヤとは、タイヤ側面のゴムの厚みを増しておくことにより、万一パンクして空気がすべて抜けても、しばらくの間は安全に支障なく走行を続けられる機能を備える。厚みを増したタイヤ側面で車重を支え、また走行性能を保持するのである。スペアタイヤや、パンク修理剤を搭載せずに済み、最寄りのタイヤ交換可能な店やガソリンスタンドなどまで移動できる。

 スペアタイヤは人によって利用の有無がわかれ、クルマを所有している間一度も使ったことのない人が多い。非搭載とすれば、使わないものに資源を使う無駄を省くことができる。また、スペアタイヤは車重を増加させ、燃費や加速性能に影響を及ぼす。車両のパッケージングにおいても、無駄な空間を必要とし、客室内や荷室容量に制約を与える。ほかに、タイヤ交換やパンク修理を路上で行なう例もあり、それで命を失った交通事故があった。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

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乗馬、読書
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