万能装備じゃない! あえて人気のスライドドア車を選ばないほうがいいケースとは (1/2ページ)

高齢者にとってヒンジドアのほうが乗り降りしやすい場合も

 いまや日本市場におけるファミリーカーのメインストリームはスライドドアのミニバンになっている、といっても過言ではない。多人数乗車に対応でき、また後席の乗降時にドアを全開にできるというのは老若男女にメリットがある……ように思えるが、はたして実際にはどうなのだろうか。

 おそらく多くのユーザーが誤解しているのは「スライドドアのミニバンは高齢者にやさしい(乗り降りしやすい)」ということだろう。たしかにリタイヤしたばかりの、まだまだ若々しさもある60代であれば、スライドドアのミニバンに乗り降りするのに苦労はないだろう。いまや後席の乗降を助けるアシストグリップは当たり前の装備となっているし、なんならオプションでステップをつけることもできる。しかし、スライドドアというのは、その構造からフロアが高くなり、座面も高い。そのため、動線としてはクルマに対してまっすぐに乗り、車内で向きを変えてシートに腰を下ろすというものになる。これは、ある程度の年齢を重ねた高齢者には厳しい動きとなる。

 個人差もあるので年齢を目安にすることは難しいが、後期高齢者と呼ばれる頃になると立つことよりも座ることが難しくなるのだ。また、足も高く上げるのは難しくなる。つまりスライドドアのミニバンは乗りづらくなる。むしろ、座面が適度に高いヒンジドアのクルマのほうが乗り降りしやすい。具体的にはスズキ・ワゴンRやホンダN-WGNといったハイトワゴン系の軽自動車が乗りやすのだ。こうしたクルマであれば高齢者と向かい合って体を支えて、乗り降りを介助しやすい。また、軽自動車であればドアを全開にしやすいというのもメリットになる。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
趣味
モトブログを作ること
好きな有名人
菅麻貴子(作詞家)

新着情報