長谷川祐介F1プロジェクト総責任者が語る「ホンダパワーの現状」
ホンダのF1活動を統括する長谷川祐介F1プロジェクト総責任は、予選後にパワーユニットのパワーについて、「いま出せるレベル、という意味ではきちんと出せたと思います。でも、パワーの絶対値で言うと、満足はしていません」と答えている。
正直な答だが、F1Aから予選後に発表された最高速を見ると、かなり厳しい状況にあることになりそうだ。予選中に、現状でしっかり力を出せたとするマクラーレン・ホンダだが、予選中に計測された1コーナー手前のスピードトラップでは、22台中の19番手と20番手に沈んでいる。
もっとも、最高速の速さ=タイムではない。その証拠に、予選で1-2だったメルセデス勢は、ルイス・ハミルトンが5番手、ロズベルグは9番手。トップはフォースインディアのフルケンベルグ(予選10位)であり、ウィリアムズのボッタス(予選11位)とマッサ(予選6位)が続いている。しかし、フルケンベルグの330.3km/hに対してハミルトンは328.1km/hと大差はないが、マクラーレン・ホンダは、バトンが320.4km/h、アロンソが320.2km/hと10km/hほどの大差が付いている。
オーストラリアGPの会場であるアルバート・パークは、その名の通り公園の中をコンクリートウォールで仕切った公道コースだ。シンガポールのマリナ・ベイほど直角コーナーと直線の組み合わせではなく多少のコーナーが存在するけれど、ダウンフォースがモノを言う高速コーナーがないという点で、空力はそれほど重要ではない。
マクラーレンは、最新の空力パーツを開幕戦に間に合わせられなかったという情報もあるが、計測地点は、直角に近い最終コーナーから立ち上がってストレートを加速してきた場所であり、最終コーナー立ち上がりのスピードは、最高速に無関係ではないにしてもそう大きな差にはならないと解釈できる。
つまり、パワーユニットの能力がほぼそのまま出ると見ていい。この最高速が、現在ホンダ・パワーがもてる最大値が活かされているとすると、DRS(前車との間隔が1秒以内になった時にウィングを寝かせてスピードアップできるドラッグ・リダクション・システム)を使っても追い越しは簡単ではない。逆に前にいるのが、トップスピードを誇るフルケンベルグ+フォースインディアとボッタス+ウィリアムズなのだから。
木曜日の会見で、当面の目標であるQ3進出が簡単ではないと語っていた真摯な受け答えをする長谷川F1プロジェクト総責任が、予選後に、「力がきちんとだせれば入賞の可能性はある」とコメントした。トラフィックや作戦でどうなるかわからないとも。
レースはいつも、表面に見えていることだけではないなにかが起きることになっている。