平成27年度中に4大都市圏で水素ステーション100カ所が目標
トヨタMIRAIに続き、ホンダからもクラリティが登場し、燃料電池車(FCV)が一般的な自動車に混じって実際に街の中を走る時代がやってきた。それとともに、立ち後れていたインフラ整備も加速気味で、FCVに水素を補給する水素ステーションの開設が相次いでいる。
FCVとそのインフラを担当する業界では、2015年度には「FCVの普及開始」と「国内4大都市(関東・中部・関西・北九州)を中心にした100箇所程度の水素供給インフラ(水素ステーション)を整備する」と定めたロードマップを2011年時点で発表していた。
国もこの事業への補助を積極的に行っており、燃料電池車は、クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金の対象となっている。一方、水素ステーションも同様に次世代自動車振興センターの燃料電池自動車用水素供給設備整備補助事業の補助を受けている。その補助金の交付対象ステーションは83カ所。
現在、水素ステーションを手掛けている大手といえば、カセットガスコンロで知られる岩谷産業とENEOSのサービスステーションを展開するJXエネルギーである。岩谷産業は20カ所、JXエネルギーは40カ所の商用水素ステーションがこの補助金の交付対象となっているのである。
つまり、この補助金交付を受けている以上は、交付対象ステーションの建設を平成27年度の3月末までに完了させなければならないのだ。というのも、水素供給設備整備事業費補助金として、平成26年度の補正予算額として確保した95億9千万円の効力が平成27年度の3月末までとなる。そのため開設予定のステーションを急ピッチで進めているということになる。しかも昨年末までに開設した水素ステーションはというと、岩谷産業は11カ所、JXエネルギーは16カ所の27カ所に留まっていた。
JXエネルギーは、2月に相模原南 (神奈川)、横浜IKEA港北(神奈川)、枚方走谷(大阪)、茨木(大阪)の4カ所をオープン。3月17日時点では、松戸六高台(千葉)、安城尾崎(愛知)、菱川(京 都)、横浜南(神奈川)、伊都(福岡)、越谷新明町(埼玉)、目黒(東京)、潮見公園(東京)、さいたま緑(埼玉)の9カ所をオープンさせるなど、猛烈な勢いで水素ステーションの開設が進んでいる。
自動車メーカーは、2014年12月のMIRAI、そして2016年3月のクラリティと市販車を登場させたわけだが、エネルギー各社もそれに負けじとインフラとなる水素ステーション開設を急いでいる。これでFCVユーザーが少しでも水素供給に対する不安を取り除くことが出来れば、着実に水素社会へ向けた新たな一歩を踏み出すことになる。