さらなる速さを求めた日産GT-Rの2020年モデル発表! GT-RとフェアレディZの50周年を記念したレーシーすぎる限定車も
GT-R NISMOは30kgの軽量化に成功
日産は2019年4月17日、今年6月に発売予定の「NISSAN GT-R」の2020年モデルを発表。あわせて今夏に正式発表の「NISSAN GT-R NISMO」の2020年モデルと、「NISSAN GT-R」および「フェアレディZ」の生誕50周年を記念した限定モデル「NISSAN GT-R 50th Anniversary」、「フェアレディZ 50th Anniversary」を公開した。
東京都・銀座のNISSAN CROSSINGでメディア向けに発表会が行われた。
GT-Rは圧倒的な性能を誇る日産のスーパースポーツカーに与えられる名称。1969年にスカイライン2000 GT-Rとして初代が誕生し、以降2世代5代に渡って生産された。とくにグループAレースで勝つために作られたRB26型エンジンを搭載する第二世代のスカイラインGT-Rは、R32、R33、R34という型式で呼ばれ根強いファンを持つ。
その後、R34型をもってGT-Rの名は一度姿を消すが、2007年にGT-Rからスカイラインの名が外れ、「NISSAN GT-R」という新たな車種として復活した。以降10年以上に渡り、改良を繰り返しながら販売されている。
R35型となるこの「NISSAN GT-R」の開発テーマは「究極のドライビングプレジャーの追求」。これは第二世代のR32型登場時から一貫されるものだ。
搭載される3.8リッターV6 24バルブツインターボエンジンは、匠の技により1台1台手組みされているが、今回発表された「NISSAN GT-R」の2020年モデルでは「NISSAN GT-R NISMO」に採用してきたレスポンス向上に貢献するターボ高効率化技術、「アブレダブルシール」を採用。これは吸収した空気の漏れを最小限にすることでレスポンスを向上させるといったもので、レース用ターボチャージャーにもよく使われる技術だ。
また「NISSAN GT-R」には急な上り下りやカーブが連続するような道路状況でも快適で安全な走りを実現できるよう、自動的に適切なギヤチェンジを行う「アダプティブシフトコントロール(ASC)」を搭載するが、2020年モデルでは走行モードをもっともスポーティな「R」にした際のこの機能のシフトスケジュールがよりアグレッシブに設定された。
これによりコーナー進入時のブレーキングでは積極的に低いギアを選択し、より鋭いコーナー進入と立ち上がり加速を実現。
さらに、新たなサスペンションを採用することで、速さはもちろん、鋭い応答性と乗り心地を両立しているという。加えてブレーキもブースター特性のチューニングにより、初期の効きやコントロール性を向上させた。
ボディカラーには新色のワンガンブルーを設定。またマフラーには青い焼け色が特徴的なチタン製のエキゾーストフィニッシャを採用し、よりスポーティな印象とした。
グレードは現時点では「Pure edition」、「Black edition」、「Premium edition」の3つが発表されている。
またあわせて「NISSAN GT-R NISMO」も2020年モデルとなるが、今回の改良はこのNISMOモデルにとくに注力したと車両開発責任者の田沼さんは語る。
2014年モデルではじめて投入された「NISSAN GT-R NISMO」は、ドイツ・ニュルブルクリンクで7分8秒679という量産車最速のタイムと叩き出すほど走りを追求したクルマだ。
今回の2020年モデルではレースで培われた技術を応用し、さらなる進化を図る。GT3レーシングカーから使われている新型ターボチャージャーが採用。NISMO用のタービンブレードは枚数を減らすとともに形状も見直し、効率を落とすことなく軽量化を実現。レスポンスを20パーセント向上させているという。これによりコーナーなどでの立ち上がりの加速性能を高めた。
またルーフ、エンジンフード、フロントフェンダーにカーボン素材を使用、とくにルーフにはカーボンとカーボンよりも低比重の素材によるサンドウィッチ構造を採用し、さらなる軽量化を実現。ただこの軽量化のデメリットとして接地荷重が減ってしまうことが挙げられる。一般道での走行には何ら問題のないレベルなのだが、ハイスピードを出すサーキット走行などでは不利な要素だ。
これを解消すべく採用されたのが、GT3レーシングカーをも彷彿とさせるフロントフェンダーのエアダクト。これによりホイールハウス内の内圧を下げることによってフロントタイヤのダウンフォースを増やすほか、エンジンの熱を逃すことにも貢献する。これによってタイヤの接地圧を下げることなく、軽量化による運動性能の向上を享受できることとなった。
足もとには走行中の接地面積を最大化したハイグリップタイヤと、軽量かつ高剛性な9本スポークが特徴の鍛造アルミホイールを採用した。さらに新たに開発した世界最大級のサイズを誇るカーボンセラミックブレーキにより、サーキットなどでの効きの良さと一般道でのコントロール性を両立させた。ブレーキキャリパーには1000度に達しても退色のない黄色を採用している。
また、シートには軽量化をしながら剛性を高めた新開発のRECAROシートを採用。
カーボンセラミックブレーキやカーボン製の外装部品、RECAROシートなどを合わせて合計で約30kgの軽量化に成功した。
なお「NISSAN GT-R NISMO」の価格は現時点では未発表。
ともに登場から50周年を迎えるNISSAN GT-RとフェアレディZ の限定モデル「NISSAN GT-R 50th Anniversary」、「フェアレディZ 50th Anniversary」も本日公開となった。
1969年に登場したハコスカと呼ばれる初代GT-R「スカイライン2000GT-R」から数えて50周年を記念して登場する「NISSAN GT-R 50th Anniversary」。上で紹介した2020年モデルのPremium editionをベースに、外観にはツートーンカラーを取り入れている。これは日本グランプリで活躍したGT-Rのレーシングマシンのエクステリアをモチーフとしたものだ。
なかでも、2020年モデルで追加となった新色、ワンガンブルーには、ホワイトのステッカーが組み合わされており、往年の日産レースチームカラーを再現している。また、ブリリアントホワイトパールのボディカラーにはレッドステッカー、アルティメイトメタルシルバーにはホワイトステッカーが用いられ、全3パターンの展開だ。加えてリヤにはNISSAN GT-R 50th Anniversaryの文字をあしらったバッジとステッカーが配置される。
さらにワンガンブルーの記念車は、ボディカラーと合わせた、50周年記念ロゴ入りのブルースポークホイールを標準装備し、特別感を強調した。
内装には、ミディアムグレーの専用インテリアカラーを採用。上質なセミアニリンレザーを使用すると共に、シートサイド部はわずかに明るいグレーとすることで質感の高い室内空間を演出した。また、センターコンソール、メーター、キッキングプレートにも50周年記念ロゴが配され、ドライバーに特別感をもたらしてくれる。
今回の記念モデル発売を受け、セイコーウォッチ株式会社から、数量限定のコラボレーション腕時計が発売されることになった。オーナーは必ず手に入れたいところだ。
「NISSAN GT-R 50th Anniversary」は、2020年3月末までの期間限定モデル。2019年6月に発売される。
一方「フェアレディZ 50th Anniversary」は、1970年にアメリカのSCCA(スポーツ・カー・クラブ・オブ・アメリカ)のレースで優勝した「ダットサン240Z BRE」を現行モデルで再現した。
エクステリアには専用のステッカーやバッジを配すほか、専用デザインの19インチアルミホイールを採用。またボディカラーはブリリアントホワイトパール×バイブラントレッド、ブリリアントシルバー×ダイヤモンドブラックの2種類を用意する。大胆なツートーンのカラーリングがじつにレーシーな印象だ。
インテリアはセンターストライプを施したアルカンターラ表皮のステアリングホイールを採用。そのほかシフトノブまわりやメーター内に専用ロゴをあしらうなど、特別感を感じられる仕上がりとなっている。
なお「フェアレディZ 50th Anniversary」は、2020年3月末までの期間限定モデル。2019年夏より発売予定だ。価格は未発表。
「今回発表したモデルは、技術の日産のひとつの証。これらのクルマに乗って日本の技術の誇りを感じてほしい」と車両開発責任者の田沼さんは自信を持って語った。