もはや奇跡の産物! メリットなしのRRでも「ポルシェ911」が最強でいられるワケ (1/2ページ)

911のレイアウトはVWビートルから引き継がれたもの

 ポルシェといえばスポーツカーの代名詞的なブランドであり、クルマ好きなら一度は乗りたい、所有したいクルマでもある。そのラインアップは近年ではスポーツカーだけでなくSUVやセダンといったボディバリエーションが増えたばかりか、パワーユニットとしてもHV(ハイブリッド)、PHV(プラグインハイブリッド)といったエコカーまで揃ってきている。

 しかし、ポルシェを代表するのはいつの時代も「911」に決まっている。ポルシェを敬う言葉として「最新のポルシェが最良のポルシェ」とよく言われているが、911はいつの時代でも先進的でありスポーツカーのベンチマークとして性能を高めて来ているからだ。

 その911が1963年の登場以来、現代も変わらず普遍的に守り続けている部分がある。それはRR(リヤエンジン・リヤドライブ)のレイアウトであるということだ。その起源はポルシェ社創業一族のフェリー・ポルシェがデザインしたRRのVW(フォルクスワーゲン)ビートルから引き継がれ、長男のフェルディナンド・ポルシェがスポーツカーとしてポルシェ356を生み出し911へと発展させたのだった。

 スポーツカーとして世界的な名声を確立したポルシェ911の起源が大衆車であるVWビートルだったというのも面白いが、RRのままで常に時代をリードする高い走行性能を授けていることはポルシェ社の技術力の高さを示しているといえる。もしポルシェ社が技術的な限界を感じたらRRを諦める時だろう。これまでにも何度かそうした危機に遭遇した時代もあったが、ポルシェ社は最新のテクノロジーを駆使し乗り越えてきているのだ。

 VWビートルがRRを採用した理由は低コストで量産性が高く、トラクションに優れるという理由からだった。ポルシェがそれを引き継いだのはトラクション性能の高さが他のレイアウトを圧倒している点を活かしたいからだったとも言われている。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
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海外巡り
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クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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