社長が「カーガイ」であることはブランディングとしても有効
先日、鈴鹿サーキットにて開催されたモータースポーツファン感謝デーにて、トヨタの豊田章男社長とホンダの八郷隆弘社長がイベントに登場し、デモランまで披露した。豊田社長は世界ラリー選手権で活躍するヤリスWRCを、八郷社長は二輪のル・マン耐久レースの優勝マシンであるCBR1000RRを駆って、鈴鹿に集まったファンの前に登場した。
いずれもレーシングマシンであり、ズブの素人がカンタンに動かせるものではない。おふたりとも、かなりのスキルの持ち主といえる。逆にいえば、これほどバリバリのレーシングマシンは、いくらお金を積んでも乗れるものではない。その意味ではトップだからこそ乗れるという意味で、クルマ好き、バイク好きからすると羨ましくもあるだろう。
それにしても、自動車メーカーのトップで、このように自動車やバイクに乗るのが本当に好きなんだな、と感じさせる人は珍しい。トヨタの御曹司でもある豊田章男氏は社長就任以前からお忍びでレースに参加(そのため「モリゾウ」というドライバーネームを使っていた)ことでも知られている。また、ホンダは前社長の伊東孝紳さんからしてクルマ好き、バイク好きを公言していた。
一方で、あくまで経営者に徹して、運転免許さえ有していない自動車会社のトップもいる。株主などステークホルダーからすると経営者は売上や利益を高めてくれればいいわけで、クルマ好き、バイク好きである必要性はないという見方もあるだろう。むしろ、豊田社長が「モリゾウ」と偽名を使わざるを得なかったように、レースに出ることを反対する声もある。今回のデモランにしてもケガのリスク、公衆の面前でのアクシデントによる悪影響などを考えれば、大きな決断だったといそうだ。