2002年に乗用車事業から完全撤退
いすゞ自動車というと今ではバスやトラックなど、働くクルマを中心に生産、販売をしており、「運ぶを支える」自動車メーカーとして知られているが、過去には乗用車も手掛けており、現在でも多くのファンがいるほど魅力的な車種を多くリリースしていた。
いすゞの乗用車は1992年に小型乗用車の自社開発を中止。2002年にはSUVモデルの製造販売とOEMモデルの乗用車の販売も終了し、日本国内での乗用車部門から完全撤退しているが、これは企業力強化のため経営資源を得意とする商用車の分野に集中するための苦渋の選択であり、その結果見事V字回復を成し遂げたというわけなのである。
業績が回復した現在でも、現状は乗用車部門に復帰する予定はないということでそれを残念に思うファンも少なからず存在すると思うが、今回はいすゞが生み出した魅力的な乗用車を振り返ってみたい。
1)117クーペ
カロッツェリア・ギアに在籍していたころのジョルジェット・ジウジアーロがデザインしたことでも知られるいすゞのスペシャリティクーペ。デビューは1968年だが、その後2回の大幅な改良を受け1981年まで生産された息の長い車種でもあった。
当時の新車価格はクラウンを大きく上回るほどの価格だったが、それ故か発売開始以来の10年間に1台も廃車が出なかったとの記録があるほど大切にされた車種でもあった。
2)ピアッツァ
117クーペの実質的な後継車種となるのが、1981年に登場したピアッツァだろう。117クーペと同じくジウジアーロがデザインしたエクステリアは、1979年のジュネーブショーに参考出品された「アッソ・ディ・フィオーリ」をほぼそのまま市販化したようなものだった。