交渉次第でカットできるのは“納車費用”と“車庫証明代行費用”
今回は新車ディーラーでの値引きアップ術を6つ挙げてみたい。
1)女性が商談の主役
セールスマンは商談のキーマンとして奥さんを重要マークしている。たいていの旦那さんはクルマ好きであるので、こちらは“新車に乗れる”ということで多少の予算オーバーとなっても、クルマさえ気に入ってもらえれば問題ない。また、最近ではクルマに全然興味を示さない旦那さんも目立っているとのことだが、その時には奥さんが積極的に商談をリードしていくということである。昔とは少々勝手が異なっているとはいえ、女性の多くは男性ほど趣味としてのクルマへの興味はなく、日常生活の移動手段と割り切って使用しているケースがほとんど。そのためどんなに気に入っていても、希望予算をオーバーしている限りはまず首を縦に振ってくれない。
「あるご家族との商談のことでした。最初は登場したばかりの背の高いミニバンをご希望でご来店されました。しかしショールームにモデル末期の背の低めのミニバンを特価表示で展示していたところ、奥様の『これでいいでしょ』という一言で購入が決定してしまいました。最新型車に乗れると思っていたご主人は結構落胆していましたね」という話を聞いたことがある。
とにかく旦那さんよりは奥さんを意識して商談を進めているのは確か。とくに値引きなどの数字の駆け引きでは“主婦パワー”全開で話を進めるのは有効である。
2)早起きは三文の得
ただ新車の購入を検討している、というだけではなかなか値引きも拡大しない。セールスマンの印象に残るお客となるような努力も大切だ。そのひとつが営業開始直後にディーラーを訪れることがある。ディーラーによっても異なるが、たいていは開店前に店舗スタッフで軽いミーティングを行う、もちろん主要テーマは“その日に何台受注可能なのか”である。クロージング(あとは細かい条件を詰めれば契約となる状態)の状態に入っている商談客の数や、新規に店頭へ呼び込んだお客のなかで受注可能見込みの把握などを行う。
そのようなミーティングも終わり、店を開けた直後にやってくるフリー(初めて訪れる)のお客はインパクトが強い。つまり朝一番に“冷やかし”でやってくるお客はほとんどいないので、かなり新車購入検討が進んでいるとセールスマンは判断する。
そして新車販売業界は何かと“ゲンを担ぐ”業界でもあり、朝一番のお客を見事受注に持って行き、その日の営業活動に弾みをつけようとするセールスマンも多いので、短期間で好条件も出やすい傾向にある。また、朝一番と早い時間で一度商談ができるので、その日の夕方には「その後どうですか?」と電話をしたりして、“追い込み”もできるので、短期間で受注に結びつけられるとも考えているのである。
3)諸費用カットは契約直前に要求
いまのところ、“販売諸費用”として計上されているなかで、交渉によりカット可能となるのは、“納車費用”と“車庫証明代行費用”の2点となる。納車費用とは、セールスマンがお客の自宅や勤務先など、指定先へ新車を持って行き納車する手数料のこと。
ただ最近は新車ディーラーもご多分に漏れず人員不足が深刻となっている。そのため納車が集中しやすい週末にいちいちお客の自宅などへ新車を持って行っていたら、商売にならないとのことで、お客にディーラーまできてもらい店頭納車するのが大原則だ。見積り段階から納車費用を計上しないディーラーも多い。万が一納車費用が計上されていたら、店頭納車が大原則にも関わらず「店頭に引き取りにきていただければカット可能です」として値引きに積極的である姿勢をアピールしようとしているものと考えていいだろう。
車庫証明代行費用については、セールスマンが代行して所轄警察へ赴き、車庫証明の申請及び交付(受け取り)を受ける代行費用となる。これは購入者自身が車庫証明の申請などを行えばカット可能となっている。ただOSS(ワンストップサービス)対象地域では、検査登録代行費用などと一括して諸費用計上されるので、「自分でやるから」といっても原則的に車庫証明代行費用のカットはできない。ちなみに、OSSはオンラインネットワークを活用し、車両登録の一元化をはかるものとなる。
このように納車費用は形骸化し、車庫証明代行費用はOSS対象地域外でしか諸費用カットできなくなっているのに、商談のはじめからいきなり諸費用カットにこだわって値引き交渉するひとも目立っている。諸費用カットは車両値引きのなかでは“枝葉末節”的なものと考えていただきたい。
まずは車両本体価格からの値引き引き出しを最優先し、さらに用品値引きや下取り査定額の上乗せなどで値引き総額をアップし、いよいよ契約となった時に、「車庫証明は自分でやるし、納車も取りに来るから」としてカットを要求しよう(納車費用が計上されたり、OSS対象外地域などでカット可能な時)。
ただ車庫証明については、所轄警察へ平日に申請し、平日に交付(受け取り)を受けなければならない。サラリーマン稼業などでは、半休などもあるだろうが、頻繁に休みを取るわけにもいかないので、“手間を省くか、支払いを減らすか”という損得勘定も忘れないでほしい。車庫証明の準備が遅くなればなるほど、新車が手元に届くのが遅くなるのである。なお、ディーラーの都合で登録作業を急いでいる場合は、車庫証明費用のカットができたのに、セールスマンが代行してくれるということもある。