ストラットにダブルウイッシュボーン! 今さら聞けないサスペンションの種類と機能 (1/2ページ)

独立懸架式サスペンションに複数の形式が存在する

 クルマ好きにとって、サスペンションは非常に気になる部分。どのクルマがどんなサスペンション形式なのか、カタログを見るときもついついそこに目が行く人もいるのでは!? そんなサスペンションには、大きく分けて2パターンある。

 ひとつは左右の車軸が一体になって動くリジットアクスル(車軸式サスペンション)。もうひとつは、独立懸架サスペンション。リジットアクスルは、クロカン4WDやFF車のリヤサスに採用されるのが多い。

サスペンション

 メリットは、構造がシンプルでコストが安く、省スペース化が図れるので、室内空間を広くとれること。デメリットは、片方のタイヤにかかった力が、もう片方のタイヤにも影響することと、アライメント変化を自由に想定できないこと。バネ下重量が重くなることなど。サスペンション

 独立懸架サスペンションは、タイヤが1本ずつ独立してストロークするサスペンション。乗用車の場合、フロントサスはほとんどのクルマが独立懸架サスペンションで、FF以外はリヤも独立式となる四輪独立サスペンションが主流。リジットに比べ、路面追従性ではかなり有利。サスペンション

 この独立懸架サスペンションのなかに、ストラットやダブルウイッシュボーン、マルチリンクなどの形式がある。

●ストラット

 サスアームはロアアーム1本だけで、ダンパー自体をホイールの位置決めのための支柱(ストラット)に利用する形式のサスペンション。多くのクルマに採用されている。サスペンション

■メリット
・構造がシンプルで部品点数が少ないので、コスト、重量の面で有利。
・アライメントの製造誤差が小さく、組み付け精度が高い。
・車内空間(エンジンルーム)を広くとりやすい。
■デメリット
・高剛性は望めない。
・トレッド変化と対地キャンバー変化がトレードオフ。
・ダンパーに曲げモーメントが発生するので、ダンパー自体の剛性が重要(倒立式ダンパーが望ましい)

●ダブルウイッシュボーン

 F1などのレーシングカーやハイパフォーマンスカーが好んで採用しているダブルウイッシュボーン。ウイッシュボーンとは、Λ字型をしている鳥の胸骨のことで、そのΛ型(A型)のアッパーアームとロアアーム、上下二本のアームで構成されるサスペンション。

サスペンション

■メリット
・キャンバー変化、ロールセンターの高さ、アンチダイブ・アンチスクワットジオメトリなどの値をかなり自由に設定できる設計の自由度が高い。
・ストローク時の対地キャンバー変化が少ない。
・サスペンションの剛性が高い。
・フリクションが小さい。
■デメリット
・部品点数が多いので、位置決めの精度が要求される。
・サスアームの長さ、とくにアッパーアームが長くとれないと、ストローク時にトレッド変化が起きる。
・コストと、重量の面では不利。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

愛車
日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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