車体寸法はほぼ同じだが、使い勝手はどちらが勝る?
両側スライドドアを備えた5ナンバーコンパクトミニバンの王者だったフリードに強力なライバルが出現した。そう、新型シエンタだ。何しろアクア譲りのストロングHVを新設定。モード燃費は驚きの27.2km/L(フリードHVは21.6km/L)。しかもHVバッテリーを1列目座席下に配置(フリードは3列目座席下)し、燃料タンクは超薄型だからパッケージングもまた最強。たとえば全高はフリードのほうが40mm高いのに、室内高は超低床フロアのシエンタが15mm高かったりするのだ。
まずは両車の居住性をチェックしてみよう
1列目席はどちらも乗用車的なドラポジが特徴である。フリードのスッキリ感あるインパネは奥行きが長く視覚的な広々感、ミニバン感を強調。運転席まわりの収納も豊富だ。シエンタはこってりしたデザインのインパネが短めで車両感覚はつかみやすいものの、運転席まわりの収納はなぜか助手席まわりに集中している。頭上方向の余裕はどちらも文句なし。
スライドドアの乗降性はシエンタが優勢。ステップ高はシエンタが地上330mm。フリード390mm。スライドドアの開口部はシエンタのほうが高さ方向に広く、乗降するための間口が50mm程度広いからだ。
さて、シエンタは6/7人乗りがあるが、2列目席はどちらも5:5分割のベンチタイプ。6人乗りは中央にポケットを備える2人掛けという不思議な設定だ。
フリードは6人乗りキャプテンと7人乗りベンチシートを用意。かけ心地は厚み感あるソファ的な掛け心地のフリードが優位。シエンタの2列目席はややクッション感が薄め。ちなみに頭上、膝まわり方向のゆとりは同等である。3列目席の乗降はフリードの6人乗りならウォークインと2から3列目席スルー(幅1145mm)で行なえる。シエンタの2列目席はワンタッチタンブル格納で行ない、乗降間口は400mm前後とフリードのウォークインの250mmを凌ぐ。
3列目席の掛け心地はシエンタが圧勝だ。フロアからシートの高さがフリードより70mmも高くしっかり座れ、クッション性も良く想定外に快適。フリードはシート位置が低く、体育座りになる。頭上方向は両車同一。膝まわり空間はシエンタのほうが余裕がある。
居住性の結論
2列目席優先ならフリードのキャプテンシート、3列目席の居心地、掛け心地にこだわるならシエンタだ。ラゲッジは開口部が低く重い荷物の出し入れやペットの乗降が楽なのは、フロアがすっきり広いシエンタが勝る。フリードはフロアが凸凹で横幅が狭いのが残念。ラゲッジ拡大のための3列目席格納はハネ上げ式のフリードは操作が重く、シエンタは2列目席をタンブルする手間が必要だが、斜め後方視界まで考慮するとダイブイン方式のシエンタに軍配が上がる。