不遇の時代でも光り輝くクルマが存在した!
時代ごとに憧れたクルマというのは違う。1970年代はオイルショックが襲い、クルマにとって不遇の時代へと突入。さらに公害が問題になって、排ガス規制も強化されたことから、スポーツカーは消滅。残ったとしても軒並みパワーダウンした、まさに暗黒期だ。
とはいえ、1970年代初頭は1960年代からの流れで、スポーツカーが熟成していたし、そのあとの手足をもがれた状況でも、そのなかで憧れたクルマたちはあった。マイカーブームが到来して徐々にクルマが身近なものになりつつあったが、まだまだ庶民は中古車を買うのがやっとという時代でもあった。そのなかで、庶民が憧れたクルマたちを5台紹介しよう。
1)日産スカイラインGT/GT-R(ハコスカ)
ハコスカにGT-Rが加わったのが1969年のこと。レースでの活躍もあり、大人気となったが、価格は150万円と今の感覚でいうと2000万円ぐらいのプレミアムスポーツな感じ。L6を積んだGTは100万円を切っていたが、それでも1000万円ぐらいの感じだった。庶民が買えたのは直4搭載のショートノーズ(大ヒットにはなっていた)で、6気筒への憧れはかなりすごかった。
2)日産フェアレディZ432/240ZG
フェアレディZもスカイラインと同じく、相当な憧れだったが、こちらでGT-R的な存在だったのが、同じS20を積んだ432だ。さらに逆輸入的に登場したのが240ZGで、Gノーズと呼ばれたグリルレスノーズやオーバーフェンダーなどで別格の存在だった。ZGも価格は150万円で買えるわけもなく、庶民は社外のGノーズキットを付けて楽しんでいた。
3)日産チェリーX-1 R
当時まだ特異な存在だったFFを採用しつつ、スポーツグレードも登場したことで、クルマ好き庶民の憧れを集めた。星野一義ドライブによるマイナーツーリングレースでの活躍も拍車をかけた。しかし、せいぜい買えてもX1止まり。価格は65万円だったが、それでも高くて買えなかったし、実用性が低いクーペだけになおさらだった。それゆえ、生産台数は3000台ほどだった。※写真はチェリーX-1