懐かしいグループ4前夜のラリーカー(1961-1982年)[ランチア/フィアット/ルノー] (1/2ページ)

前輪駆動や後輪駆動とラリー必勝のセオリーはカオスだったころ

 FIAが統括する世界ラリー選手権(WRC)は1973年に始まったが、もちろんラリー競技自体はそれ以前から開催されていた。そして、そこに挑戦していたラリーカーは、市販モデルをベースにチューニングが施されたクルマ達だった。やがては必須となる4輪駆動は皆無。前輪駆動のクルマも登場していたが、ラリーフィールドでの大勢は、まだまだ後輪駆動が主流派を占めていた。ターマックやグラベルはもちろん、サファリ・ラリーに代表されるような灼熱の悪路でも、モンテカルロのような氷雪路でも、ドライバーがあまりクルマに頼らず自らのテクニックでタイムを削っていく。そんな、ある意味長閑だったころのラリーを賑わせたクルマたちを紹介しよう。

★ラリーがまだ大冒険旅行だった時代★
1961-64 Lancia Flavia Coupè 1800 & 1964 Lancia Flaminia GT

 そもそもラリー(Rally)とは再び集まるとの意味があり、その黎明期にはタイムを競う競技というよりも大冒険旅行だった。ここで紹介する2台は、そんな頃に活躍したマシン。ともにイタリアの名門、ランチア製だが説明パネルに#75を纏った写真があるのはフラビア・クーペ。もう一方の#10はフラミニアGT。こちらはヒストリックカーイベントに参戦した時の仕様そのままらしい…説明パネルがロシア語で書かれており委細不詳だが、フラビアの方は1997年の北京~パリ・ラリーに参戦した強者のようだ。いずれにしても60年代のプレミアムなスポーツカーだけに、それを使った大冒険旅行の壮大な浪漫が思い起こされる。フラビアはイタリア北部のルイジ・ボンファンティ-フィマール自動車博物館の企画展で、フラミニアはモスクワのレトロカー博物館で撮影。

★ゴルディーニが小型乗用車をマシンに昇華させた★
1964 Renault 8 Gordini

 R8は1962年にルノーがリリースした小型乗用車。モータースポーツで活躍したドーフィンの流れをくむリア・エンジン車で、先輩同様に、こちらもモータースポーツで活躍している。リアにエンジンを搭載することで加速時のトラクションは良好で、高いハンドリング性能も大きな魅力となっている。中でも大きな活躍を見せたのは“チューニングの魔術師”とも呼ばれるゴルディーニの手がけたモデルで、気持ちよく吹け上がるエンジンを武器に小排気量クラスではもちろん、一部の大排気量車をも食う活躍ぶりだった。ともにフレンチブルーに2本の白いストライプが映えるが、R8ゴルディーニには標準でテープが付いていた…貼るのはオーナー自ら手作業!…とか。色の薄いクルマは64年のR8ゴルディーニ1.1で昨年のレトロ・モビルで撮影。一方の、色の濃い#113はフランス北西部のマノワール博物館で撮影。展示パネルには1.5リッターツインカム150馬力とあるが詳細は不明。


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