そもそも60〜70年代の日産車は作りがいい
最近では1980年代以降のいわゆるネオヒストリックに注目が集まるが、趣味の対象としてクルマとしての魅力に溢れているのは、1960年代からオイルショックまでの1970年代前半のモデルだろう。しかし、そうした古いモデルを購入するのは不安が多いのも事実。ネオヒストリックが人気なのは価格の安さだけでなく、維持のしやすさもあるからで、それ以前のクルマだと価格も高く、維持も難しい。それでも1970年代以前の旧車を楽しみたいという方にオススメなのはじつは日産車なのだ。その理由を紹介しよう。
まず、そもそも旧車としての人気モデルが多い。スカイライン、フェアレディZ、ブルーバード、サニー、セドグロ、ローレルなど、パッと思いつくだけでもこれだけ出てくる。人気のモデルが多いということは、現存数も多いわけで、程度がいいものを選択する余地があるのだ。
一方、トヨタの人気車というとセリカかレビン/トレノ程度で、これらでも旧車の定番と言えるかは微妙なところ。現役当時はセリカは結構な数が売れたものの、旧車としての人気がでなければ現存数は減ってしまう。
そして、現存数が多いと部品供給の体制も有利になる。つまりメーカーとしても商売である以上、儲からないことはやらないし、儲かるなら細々とでも続けていく。日産の場合、パーツの供給は比較的いいが、その理由としてある程度売れるからというのがあるだろう。また機関パーツは共通するものが多いためパーツ供給で有利。たとえばエンジンは日産だとL型がメインとなるが、4気筒と6気筒があったりするので搭載モデルがものすごく多く、この点は追い風だ。
逆に他メーカーだと、残存数が少ないクルマのパーツはどんどん製造廃止になっていくのは仕方がないが、伝説の名車的なモデルでも「走る、曲がる、止まる」のための最低限のパーツすら供給されないことも多い。
ただし、日産でも最近は急激にパーツの製造中止が進んでいるし、存在するパーツであっても驚異的な値上げが続いている。ゴーン氏が来てから拍車がかかり、リーマンショックで追い打ちをかけたというのが実際だ。ちなみにリーマンショックでは、世界的に旧車向けのパーツの生産中止に拍車がかかった。
また、人気が高いゆえに、日産車は社外の純正相当パーツも多い。中国での小ロット生産が可能になっていることからさらに有利に働いているが、日産で生産中止になっているパーツもどんどんリリースされている状況だ。
そして最後だが、当時の日産車は作りが断然いい。トヨタ車はやっぱり80点主義で、そこそこいいものをそこそこの品質で安くというのが旧車ではとくに強いために、耐久性が低いように思う。実際、残存させようにも朽ちていく例はけっこう目にしてきた。
一方の日産車は文句なしに技術の日産だし、旧プリンス陣が腕をふるったクルマはやはり質がまったく違う。しっかりと整備とメンテがされていれば今でも普通に乗れるのは驚くばかりだが、逆にトヨタも含めた他メーカーの旧車は、こんなものだよな、といったところ。さまざまな面で日産車が有利ということがわかっていただけだろうか。