軽自動車用の縦置きミッションはジムニーのみが使用
スズキだけでなく日本を代表する軽クロカンといっていい、新型ジムニー登場のフィーバーもひと段落した感じだが、あらためて見ても長きに亘る伝統には驚くばかりだ。初代より、コンセプトはブレることなく、着実な進化を遂げてきた。
そのなかで気になるのが、ATがいまだに4速だということ。そもそもATが登場したのは1995年(シエラは1993年)のことで、このときは3速ATだった。当時としても少ない段数だったが、今に至るまでに1速しか増えていないのはなにか理由があるのだろうか?
スズキの開発担当者に理由を聞いたことがあるのだが、軽自動車でトランスミッションのサイズが小さいうえに、縦置きのATというのはジムニーのみ。だから多段化して大きく進化させることができないとのことだった。ただ、大きく進化させることができないというとネガな感じだが、正確にはさせる必要があまりないというのも言えるだろう。
結局は走行に使えるギヤの幅は決まっていて、軽は非力だし、ジムニーの場合は高速域を重視するわけでもないのでさらに狭くていい。その中を何段で割るかというだけの話なので、3速は少ないものの、4速でもちょうどいいフィーリングになる。実際に乗っても、とくに問題は感じられない。
ジムニーの場合、がれ場も含めた悪路を走ることも想定しているため、多段化して頻繁に変速するよりも、ひとつの段がワイドにカバーできるほうが有利になるとも言える。これは10段などを搭載するモンスターマシンなどにも言え、多ければいいとというわけではないのだ。