中国車や日本車などが着実に力を付けている
ベトナムにおいては、韓国系企業がいち早くベトナム市場でのビジネスを積極化させ、その存在感を高めていると筆者は聞いていた。そしていざベトナムに降り立つと、道路を走る乗用車は確かにヒュンダイや起亜が目立つし、ホーチミン市内のコンビニエンスストアや一般的なスーパーマーケットに入れば、パッケージにハングル文字が書かれた食品が多数販売されていた。
しかしVAMA(ベトナム自動車工業会)の新車販売統計を見ると、9月単月だけの販売台数だけを見ればトヨタが1位となっており、圧倒的な強さを見せているというわけではない。これがバスとなると、確かに観光バスについては市内で見かけた限りでは、ヒュンダイ・ユニバースが圧倒的に多かったのだが、路線バスにおいては中国の北京福田汽車製バスも目立ち、筆者の個人的感想では北京福田にかなり追い上げられている印象を強く受けた。
ヒュンダイは世界的にタクシーやレンタカーへのフリート販売を得意とし、その“ドブ板営業”の手法はヒュンダイグループならではとされている。
確かにバスは北京福田製が目立っているとはいえ、ヒュンダイがまだまだ強みを見せているが、タクシー車両は圧倒的にトヨタ・ヴィオスやイノーバが多く、ヒュンダイグループの車両は影が薄くなっている。
また、ラグジュアリーミニバンでは、起亜セドナの人気が高いのだが、2017年末にアルファードがデビューしたとのことで、筆者がホーチミン市内を歩いていると、結構な確率で現行アルファードを見かけることが多く、ほかのアジア新興国市場同様に、アルファードがいまビンビン“きているな”と感じる勢いが伝わってきた。
トヨタは今回のモーターショー開催直前に、ウィーゴ、ラッシュ、アヴァンザの3台について、ベトナム市場への導入を発表しており、車種ラインアップの強化を行っている。
ヒュンダイも黙っているわけはなく、インドで人気の高いi10ベースの全長が4m以下となる、“4メーターセダン”をベトナム市場に導入しており、これがタクシー車両などのフリート販売だけでなく、一般の個人ユーザーの人気も上々なように見えていた。
まだまだ、“これから”本格成長していく市場なのだが、政府の強い自動車に関する政策があるわけでもない。ましてや国内全体でも年間で新車販売台数が30万台に満たないマーケットでは、売れ筋などを絞り込むのも難しく、いまは各メーカーともに“探り合い”をしながら新車販売を続けている印象を強く受ける。
いま韓国系が強みを見せているからといっても、これがインドのスズキや、インドネシアでの日系ブランドのように、ベトナム市場で完全に定着しているともいえない状況なので、まだまだベトナムの新車市場からは目が離せないのは間違いない。