M&Aで成功して新型プラットフォームを開発
アルファロメオが生まれ変わった。ほんの数年前まで、FFベースモデルしかなかったのが、2シーターミッドシップスポーツの4Cをリリースしたのに続いて、FRベースのセダン・ジュリア、同じくFRベースのSUV・ステルヴィオを発表。北米市場への再参入も果たした。
この2台のプラットフォーム「ジョルジオ」は、完全にイチから設計されたもので、走りも過激なほどスポーティに振っており、ドイツブランド(BMWやアウディ)に対して、アルファらしい独自色を打ち出すことに成功している。
アルファロメオは、フィアットとの部品共有化によるコスト削減を狙って、90年代にすべてFFベースになった。155は、DTM(ドイツツーリングカー選手権)でAMGを負かすなど活躍し、続いて156はかなりのヒット作になったが、その後継モデルの159は、GMとの協業でエンジンブロックがオペルベースとなり、アルファらしさを失って失速。その後GMに捨てられて独自路線に回帰し、ミトやジュリエッタを開発したが巻き返しには成功せず、グローバル販売台数は年間わずか数万台にまで落ち込み、ブランド存続の危機ですらあった。
それが突如として立ち直ったのは、先日急死した前フィアット・クライスラー・オートモービルズCEO、故セルジオ・マルキオンネ氏が、ブランド立て直しのために巨額の投資を決意したからだ。その中心こそ、新型のFR用プラットフォーム「ジョルジオ」で、この開発には1000億円以上が投じられた。
これまで開発費がなくてピーピーしていたアルファロメオに、なぜ突然、巨額の資金が投入できたのか? 簡単に言うと、M&Aの成功による。
09年フィアットは、リーマンショックで倒産の危機にあったクライスラーに出資することを発表し、14年には完全子会社化した。これが大成功で、その後の米経済の立ち直りやジープブランドの世界的な伸長で、今やフィアット・クライスラー・オートモービルス(FCA)は、クライスラー系の業績に支えられている。このあたり、傘下に収めた日産の業績に支えられているルノーに似ている。
加えて16年には、それまでフィアットが保有していたフェラーリの株式をすべて売却。フェラーリは約半世紀ぶりにフィアットからの分離・独立を果たしたが、業績は絶好調で株価は高騰していたので、フィアットには巨額の資金が濡れ手に粟で手に入った。
これらを主導したのが、先日急死した故マルキオンネ氏であり、アルファロメオブランド再建のため、FRプラットフォームへの投資を決定したのも彼だった。
アルファロメオ用に開発されたFRプラットフォーム「ジョルジオ」は、世界中で評価が高いため、今後はマセラティやダッジにも流用されるのではないかと噂されている。