技術やコンセプトにこだわりの詰まったクルマばかり
クルマに限らず、いいものを作ったからといって、それが必ず売れるというものではないのは難しいところ。もちろん売れた例もあるのだが、いずれにしても作る側としては魂込めて開発していることに変わりはない。今回は、こだわりはあったけど、売れなかったクルマについて見てみよう。
1)3代目ホンダCR-X トランストップ
シビックベースで、FFスポーツに君臨したのが初代、そして2代目のCR-X。きついタックインなどで人気を博したが、3代目になっていきなり路線変更して、ゆるいクーペに。ミッドシップに見えてFFだったのだが、リヤに収まるのはルーフ。電動だったが、今のように収納されるのではなく、リヤからステーがせり上がってきてルーフを迎えに行くという複雑なもの。
実際に担当した開発者と話をしたことがあるが、相当にこだわったという。複雑ゆえに故障も多く、実際に過去取材した撮影車も壊れた思い出が……。ちなみに手動での緊急操作も可能である。
2)トヨタiQ
トヨタを代表する1発屋のひとつであるが、技術的には意欲的で、小さなスペースに機能や機構を押し込むための実験的なクルマでもあった。たとえばステアリングのラックはかなり上に付いていたりする。
これまた担当者に聞いたところでは、販売よりコンセプトをどうまとめ上げるかを重視していたとのこと。つまり次の時代のトヨタ技術を模索するクルマだったと言っていい。
3)スバル・インプレッサグラベルEX
初代インプレッサの派生モデルとして登場したのが、RV風にまとめ上げたグラベルEX。車高を185mmも上げた本格派で、フロントのグリルバーやリヤの背面スペアタイヤは時代を感じさせるが、エンジンはWRX譲りのターボを装備で220馬力を発揮した。
まさに今でいうところのクロスオーバーSUV(当時はもちろんSUVなんていう言葉はなかった)だった。まさに早すぎたクルマだ。
4)スズキ・ツインハイブリッド
スズキが放ったシティコミューター。ガソリン仕様もレアだが、ハイブリッドもあって、販売台数は約300台とかなりレア。エネチャージが登場するまではハイブリッドは軽にはなかった、なんていう記事もあるほど忘れ去られた存在だったが、開発陣はシティコミューターとしての資質のひとつとしてハイブリッドを考え、実装したという。
ちなみにシステム的にはモーターがひと押しする程度のマイルドハイブリッドだった。