国沢光宏がドイツで大暴れ! WRCにフォードでガチ参戦その4
デイリタイヤから復活し最終日は無事完走!
トヨタのヤリス(日本名/ヴィッツ)が活躍するWRC(世界ラリー選手権)の第9戦ラリー・ドイツに、自動車評論家の国沢光宏さんがフォード・MスポーツのフィエスタR2でスポット参戦。その最終日をリポートする。
8月16日(木)以降、競技が行われてきたラリー・ドイツ2018も19日(日)に最終日を迎えた。最終日は競技2日目にも訪れたモーゼル川近くの葡萄畑や森、大草原のなかが舞台の「グラフシャフト」での走行が2回、さらにセレモニアルフィニッシュが行なわれるザンクト・ヴェンデル中心地近くの最終ステージ「ボーゼンベルグ」で争われた。
競技3日目の午前中、インタークーラーのパイプの破損によりデイリタイヤを喫した国沢さんのマシンは、その日のうちに無事に修復が完了し、最終日は予定どおりラリーを再開した。観客が多く集まるグラフシャフトの鋭角コーナーでは華麗なサイドターンを決めるなど好調子。
今回のイベントでは4日間で6ステージ観戦を行ったが、ほとんどのイベントで指定駐車場がだいたい4箇所ほど設定されていた。駐車料金は6ステージともに20ユーロ。バンなどで数人まとめてやってくる観戦者もいた。また6ステージともに軽食やビール、コーヒーを提供してくれる簡易的な売店が必ずある。グラフシャフトでは、ボイルしたソーセージ1本と薄く切ったパン1枚で2.5ユーロという価格。
最終ステージである「ボーゼンベルグ」は、このステージのみリザルトでボーナスポイントが加算されるパワーステージが設定されている。そこでの結果はMスポーツのセバスチャン・オジェがトヨタのオット・タナクを0.1秒抑えて1位に。これによりオジェは5ポイント、タナクは4ポイントを獲得。3位は3ポイント、4位は2ポイント、そして5位(1ポイント)までがボーナス対象者となる。デイリタイアを喫したドライバーでも個人ポイント(チームポイントには加算されない)を獲得することができ、かつ最終ステージであるため、イベントを終えたドライバーたちが固唾を飲んでライバルの走行姿を見る姿も見どころだ。
セレモニアルフィニッシュは、最終ステージ近くにあるザンクト・ヴェンデル中心地にて行なわれる。最終ステージがスタートする数時間前から、すでに会場には人が詰め掛けていた。
WRC最高峰クラスは、優勝者のオット・タナクだけがセレモニアルゲートをくぐり、会場にマシンを乗り入れた。今回トヨタはタナクとエサペッカ・ラッピが1-3フィニッシュを達成。競技3日まで表彰圏内につけていたヤリ-マティ・ラトバラは、ステージの途中で駆動系のトラブルを抱えたため、リタイヤを喫している。だが、前戦で投入した新型エンジンの実力をターマックラリーで証明できたことは、トヨタにとって非常に大きな成果だろう。
今回タナクは2連勝で今季3勝目。残り4戦次第ではまだ年間チャンピオンを争える位置にいる。
WRC最高峰クラスの表彰式の後、マシンは街中で車検とパルクフェルメへ。その間WRC2、WRC3クラスのマシンが続いて表彰を受けた。
ザンクト・ヴェンデルの美しい街並みのなか、フィニッシュゲートをくぐる前のマシンたちが列を作る。今回は触れなかったが、最高峰クラス以外でも、各国の選手権を勝ち抜いてきたような強者や将来が期待されているドライバーが多く参戦している。
国沢さんも無事フィニッシュ! 3日目のデイリタイアにより「超不完全燃焼」ながら、フィエスタR2の面白さを存分に味わえたと笑顔でコメント。ラリー・ドイツはターマックラリーながらも全体的に道が荒れていて危険が多いが、まるで箱根ターンパイクのような2車線分ある広い道で、「まるで街道レーサーのよう」に走れたのは楽しかったと語ってくれた。
筆者は今までラリーに参戦したことしかなく、知り合いが会場まで応援に来てくれようとしても、ほとんど見てもらうことができないし、退屈させてしまうため、断っていたほどだった。今回初めてWRCを取材、そしてラリー観戦をしたが、正直ラリー観戦がこんなにも面白いものだとは思わなかった。
まずラリーはレースよりも距離が近い。観戦パスがあればいつでもパドックを見れるし、とくにクラッシュした後のマシンの修復作業を間近で見れるのは面白い。観戦エリアもコースから10mも離れていないため迫力を感じられる。また、各ステージにいたMCや軽食なども雰囲気を作るのに重要だと感じた。
課題を上げるとしたら、一番は観戦エリアへたどり着くのが難しいこと。見知らぬ土地かつ、ガイドラインもない。またドイツは英語が喋れない人もいるため手探りだったし、時間帯による道路の封鎖で目的の場所にたどり着けないこともあった。
もしWRCラリー・ジャパンが招致されるのであればラリー・ドイツのような、たとえラリーを知らない人でも楽しめるお祭りのようなイベントであってほしい。