カタログ値で1000kgという超軽量モデル
フォルクスワーゲン(VW)にとって「GTI」というブランドは無くてはならないものだ。大衆車VW・ビートルを引継ぐ近代的な大衆モデルとして初代ゴルフが登場したのは1974年。だが翌年の1975年にはフランクフルトモーターショーでゴルフGTIをデビューさせていた。
元祖「羊の皮を被った狼」として独・アウトバーンで高性能車を追いかけ回し、世界中で話題のホットハッチとして拡大していった。その歴史は途切れることなく進化し続けている。そして今年、2018年はVW社の中核モデルに成長したゴルフとコンパクトクラスのup!、ポロの3モデルに同時にGTIが揃うという記念すべきイヤーとなったのだ。
今回は新型のup! GTIそしてポロGTIを、富士スピードウェイのショートコースで思い切り走らせたのでレポートしたい。
まずはup! GTIに乗り込む。このクルマの最大の特徴はその車重にある。カタログ値で1000kg丁度という超軽量モデルなのである。それに直列3気筒直噴ターボで116馬力、200N・mを発揮するパワーユニットをフロントに横置き。前輪を駆動するFFモデルだ。最高速度196km/hを可能とし0〜100km/h発進加速タイムは8.8秒と俊足の動力性能が与えられている。丁度初代ゴルフGTIと同様な車体寸法だが、内容は大きく進化しているのは言うまでもない。
コクピットの乗り込みエンジンを始動すると3気筒特有のサウンドが聞こえるが、コンパクトカー的な大人しいものではなく、V6エンジンのカタ排的なドスの効いたサウンドに仕上げられている。
そしてこの車は6速MT。3ペダルで軽量のマニュアルトランスミッションしかラインアップされていないところも軽量化への拘りが感じられる。
コースインして第一ターンは回り込みながら勾配を加速していく場面。アクセル全開でフルパワーを与えるとトルクピックアップのいいエンジンは瞬時に反応するが、同時に内輪の空転を感知してトラクションコントロール(TC)が介入した。サーキットアタックではTC介入は不必要なのでオフスイッチを探したが見つからず。
ピットインしてコクピットドリルを受けると電子制御は一切オフできないとのこと。マニュアルミッションなのにTCが介入すると使えるドライビングテクニックが制限されストレスが溜まってしまう。この場合早く走らせるコツは電子制御が介入しないようにフラットな姿勢を維持しステアリング操舵角を小さく保ってスムーズに走るしかないが、クイックなギア比制御の電動パワーステアリングはそのコントロールを容易にしてくれていた。1000kgしかないとは思えない重厚感とスタビリティの高さは流石でサーキットビギナーが「GTIデビュー」を果たすには最適なモデルとも言えるだろう。