運転に対する口出しは必要なし
男性が女性を自分のクルマに招き入れるとき。まだ彼女候補の段階だったり、恋人だったり夫婦だったり、デートや送り迎えや買い物など、いろんな事情の違いはあるにせよ、心の奥底に一貫しているのは、移動という時間をその女性と一緒に楽しみたい、もしくは移動をラクにしてあげたい。そんな想いがあるんじゃないかと思うのです。たとえ、それを男性がハッキリと自覚していない、無意識レベルだとしても。
だから男性としては、女性に望むことはそんなに難しいことではないはずです。むしろ、「運転している彼を私がサポートしてあげなきゃ」と、やる気マンマンでアレコレ手や口を挟んだり、つねに緊張感いっぱいで隣りに座っていられるほうがストレス。ラリー競技のコ・ドライバーじゃないんだから、まずは女性自身がリラックスして、男性の運転をジャマしない程度に普段通りにおしゃべりしたり、音楽や景色を楽しんだり、機嫌よく過ごしてあげるのがいちばんです。
よく、「助手席で寝ちゃったら彼に悪いかな?」と気にしてガマンする女性がいますが、実際に男性の話を聞くと、寝てしまう女性をイヤがる男性って少ないですよね。むしろ、信頼してくれてるんだな、安心してくれてるんだな、と満足感を覚える男性の方が多いんじゃないでしょうか? ま、パカーッと大口を開けて寝ちゃったり、ヨダレを垂らしたりするのは論外ですけどね。まずはリラックスすること。これが大前提だと思います。
そんなわけで、運転中に女性がしてあげられることってあんまりないんですよね。でも、クルマの操作に直接の関係はなくても、男性には「第3の手」が欲しい瞬間というのがあります。そのひとつが、ドライブしながら車内でドリンクを飲んだり軽食をつまんだりしているとき。大きな段差を越えたり、急ブレーキを踏んだりして、コーヒーがこぼれた! な〜んてコトもよく起こります。
男性がすかさず「ティッシュ、ティッシュ」と慌ててコンソールボックスなどに手を伸ばす……より先に、「はい、これどうぞ」ってハンカチやティッシュを差し出してあげるんです。これは喜ばれますよ〜。そんなに大げさに感激してくれるわけじゃないですが、うちの夫も明らかにそのあとの機嫌が良くなるので(笑)、ジンワリと効くみたいですね。
そしてもうひとつ、「第3の手」の出番になるのが有料駐車場を出るとき。駐車券はあらかじめ男性が持って、料金ゲートに進むかもしれませんが、そこで数百円とか駐車料金が発生したら、男性は「財布どこだっけ、小銭あったっけ」ってけっこうオタオタしがち。そこですかさず、助手席から「はい、これ使って」と小銭を手渡してあげるわけです。
これは路上のパーキングメーターなんかでも、助手席側に料金投入機が立っている場合がほとんどなので、ササッと降りて小銭を入れてあげたりね。男性はこういうちょっとした心遣いひとつで、「オレはいい彼女(妻)を持ったものだ」と小さな幸せを噛みしめるのだと、複数の男性から聞いた話です。
もっと昔のクルマなら、それこそナビなんてないから助手席で地図帳を見てあげたり、サイドミラーの調整をしてあげたり、バックするときに助手席側の安全確認をしてあげたりと、いろんなことができたんですけどね。最近のクルマはもう、全部電動だし周囲の様子はカメラが認識してくれるし、ほんとに助手席の人が活躍する場面が少なくなって、ちょっと寂しいくらいですね。
ただ、目的地についてクルマを降りたときに、あとふたつ、してあげると喜ばれることがあるんです。
ひとつ目は、ショッピングモールや空港など、フロアが何階もあるような広い駐車場に停めたとき。男性って意外に、停めた場所を覚えてないんですよね〜。もう何年も前に、2人で空港に停めて海外へ行き、5日後くらいに戻ってきたら2人とも停めた場所を忘れちゃって、ウロウロと1時間以上探し回ってヘトヘトに。結局、探していた建物とは別の建物に停めていたことが判明して、帰り道はずっと無言だったという苦い思い出が……。お互い、相手が覚えててくれるだろうと思い込んでいたんですね。
それ以来、私は必ず駐車した場所をメモするようになりました。もちろん、男性がちゃんと覚えている場合は何も言わないけど、「あれ、どこに停めたっけ?」と聞かれたら答えられるようにしておくと、楽しい時間の締めくくりに険悪ムードにならずに済みますよ(笑)。
そしてふたつ目は、本当に最後の最後。男性がエンジンを切ってクルマを降りるというときに、「ありがとう。運転お疲れさま」と感謝やねぎらいの言葉をかけることです。これは付き合いの長い恋人だろうが、夫婦だろうが、関係なし。やっぱり男性にとって、感謝されるというのは嬉しいものですよね。
べつに男性はそんな言葉を強要することはないですが、なにごともなく安全に快適に、女性を送り届けたという事実が、感謝を伝えられることによって、自己満足ではなく達成感に変わるのです。その運転が単なる買い物のアシだったとしても、きっと「また乗せてあげよう、運転手になってあげよう」と思えるんじゃないでしょうか。
そんなわけで、男性が助手席の女性に求めることというのは、じつはとってもシンプル。でもきっと、「最近そういうこと忘れちゃってたなぁ」という女性もいると思います。私自身、ここ数年は子どものお世話ばかりに気を取られて、運転している夫をほったらかしにしがちなので、あらためて心を入れ替えます!