ロールス史上初の4WDシステムを採用
かつてレンジローバーが「砂漠のロールスロイス」と呼ばれていたが、ついに「ロールスロイス」がSUV「カリナン」を投入してきた。
パルテノングリル(パルテノン神殿を模した)と呼ばれるラジエータグリルなど、誰もがひと目で、「カリナン」がロールスロイス一族であることをわかる3ボックスフォルムを採用している。
ここで注目なのが、同ブランド初となる5ドアハッチバックであること。過去にコーチビルダーが製作したシューティングブレークと呼ばれるワゴンは存在したが、ロールスロイスとしては初めてリヤハッチを採用したモデルとなる。
とはいえ、一般的なワゴンとは異なるのが、乗員スペースとラゲッジはガラス製パーティションで分割。ラゲッジに侵入した熱気や冷気が乗員スペースに入ってこないようにしている。このような構造を採用していることから、メーカーのリリースに記されている「3ボックスSUV」という表現も理解できる。
駆動方式は、4WD(四輪駆動)。これも同ブランド初の駆動システムだ。エンジンは6.75リッターV12ツインターボを搭載する。たとえSUVであっても世界を代表するロールスロイスに相応しい「魔法の絨毯のような乗り心地」を実現している。
それを支えるのが並外れた高剛性ボディだ。オールアルミ構造アーキテクチャーには、最新型自動レベル調整機能付きエアサスペンションを採用することで、オンロード・オフロードを選ばぬ優れた乗り心地を提供する。
さらに既存のエアサスペンションシステムに、オフロード走行時の大きな入力にも対応するため大型Airストラットを追加している。そして車体と車輪の動きをデータとカメラによる視覚情報を毎秒数百万回のデータ処理によって制御しているのだ。
また、キーをアンロックにすると乗車のために車高が40mmダウン。エアサスペンション機能を使い、車高の高いSUVでも乗降性を高めている。
室内は、SUVという泥臭さは一切感じさせず、伝統の丸いエアコン吹き出し口など歴代モデルを経験してきたオーナーであれば「ロールスロイス」と感じさせるもの。リヤシートは3人掛けのラウンジシートと2人掛けのインディヴィジュアルシートの2タイプを用意する。
インディヴィジュアルシートの左右シート中央には、ワインクーラーなどを収めるパーティションが用意される。ラゲッジルームは広大で560リットルの容量を確保(トノカバーを外せば600リットル)。リヤシートを倒せば最大で1930リットル、全長2245mmのスペースが広がる。カリナンの登場で、ますます超高級SUV市場が激化するのは間違いないだろう。