都内ではすでに路線バスとして稼働している!
トヨタ自動車は、4月20日に新型の燃料電池バスを東京・霞が関の中央合同庁舎でお披露目した。燃料電池バスとして国内で初めて型式認証を取得したこのバスは、「SORA」と名付けられた。その由来は、Sky(スカイ)、Ocean(オーシャン)、River(リバー)、Air(エア)の頭文字をつなげた、空気と水の循環からのネーミングとなる。
すでに3月7日からの販売がスタートし、リース形式(価格は約1億円)となる。都内では、東京都交通局が3両導入、都05-2系統(東京駅丸の内南口~東京ビッグサイト)として3月29日より運行を開始。有明にある水素ステーションも整備され、活用されている。今回試乗に使用されたのは、その都営バスではなく、トヨタ自動車が所有する車両で、ナンバーは、トヨタ環境チャレンジ2050から取られたものとなる。
「SORA」の外観は従来の一般的なバスとは異なる立体的な造形で、前後ランプにLED採用するなど先進性も高めている。ルーフ部分に水素タンクとFCスタックを搭載しているので、ルーフ部分が厚めなのも特徴といえるだろう。
燃料電池車MIRAI用に開発した「トヨタフューエルセルシステム(TFCS)」をそのまま流用。コンポーネンツはMIRAIそのままに、制御系だけをSORA用に新たに起こしているという。搭載する水素タンクは70MPaタイプのものを10本、車両前部のルーフに搭載。ルーフ後半部には、MIRAIに搭載しているものと全まったく同じFCスタックを2基搭載する。
駆動モーターもMIRAIと同じものを2基積んでおり、その出力は各モーターから減速ギヤを介して1軸で出力し、減速比はMIRAIの3倍弱となる。最高速度は70km/hほどだという。減速エネルギーのストレージとなる2次電池には、ニッケル水素電池を採用。容量は7kWhほどだが、クラウンハイブリッドに使用されている高出力型の電池となっており、FCスタックの電位変動を補うため頻繁にエネルギーの出し入れすることを重視したものとなっている。
また、バスとしての機能とデザインにも配慮。日本初となる自動格納機構付き横向きシートは、ベビーカーや車いす利用者と一般利用者の居住性を両立させている。さらに、8個の高精細カメラの画像を運転席モニターに表示する視界支援カメラシステム(バス周辺監視機能)も日本初採用となる。走りの面でも、日本初の加速制御を採用。急加速を抑制し緩やかな発進を可能とし、乗客にも優しいバスとなっている。
そして、これまたMIRAI同様、大容量の外部給電システムを搭載しているのも特徴。高出力で大容量の電源供給が可能(最高出力9kW、供給電力量235kWh)であるため、災害時に電源としての利用が可能となる。